軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

エコーモデル・その世界展の個人的感想

先日書いたように、エコーモデル・その世界展」を日曜日に見に行ってきました。既にいろいろな方々によりブログ等で感想やレポートがアップされていますが、私なりに感想その他を徒然と書いてみたいと思います。

昭和から昭和だった

★今回の展示では、阿部氏の「城新鉄道」シリーズ、宮下氏の一連の「地鉄」セクション、諸星氏の新作「KEIBENTO」、「エコーワールド2008 ジオラマコンペティション」の入賞作(全11作品)を見る事が出来ました。
展示された作品のレベルは非常に高く、目の保養かつ勉強になりました。トップレベルのモデラーの作品をこの目でしかと見る事は、刺激になると共に非常に参考になります。雑誌やWebで発表されていたりしても、やはり実際に現物を見ないと分からない事も多いです。
一方、エコーモデルやエムズコレクションの製品を主に使っていたり、あるいはエコーモデル店主である阿部敏幸氏の「城新鉄道」に影響を受けた方々の作品であるためか、「三丁目の夕日」的な作品がほぼ大半であって、skt48さんの昭和アレルギーが発症したのもむべなるかなという気もします。
★もっとも、エコーモデルは昨今の昭和ブームとは関係なく・・・というより、昭和の時代からこのような路線だった訳です。そもそも「城新鉄道」の一連の記事がTMS(鉄道模型趣味)誌に発表(後に「レイアウトテクニック」等に収録)されたのは昭和40年代であって、当時はほぼリアルタイムか、「ちょっと前の風景」位の感じだった訳です。過去を懐かしんでいるのではなく、その時からエコーワールドの時は止まったままと言えるかもしれません。
また、日本の地方私鉄は昭和30年代が車輛のバラエティに富み、鉄道開業当初からの車輛もあればカルダン駆動の新車もあるという玉石混合状態。地方私鉄の車輛作りを楽しもうというのであれば、自分の架空模型私鉄の時代設定も1960±5年位に設定する方が多いと思います。その作った車輛を走らせるレイアウト、展示するモジュールを作るとなれば、必然的に三丁目の夕日的になる訳です。
個人的には昭和30〜40年代的なモノは割合好きなのですが、それでも木造羽目板造りの建物が延々と並ぶ姿は模型的に見た時に少々くどいというか辛いというか、そう感じる事も正直あります。この辺り、皆さんがどう感じておられるのか伺いたいところです。

展示作品の感想

★阿部さんの一連の「城新鉄道」のストラクチャーとアクセサリーは、高校生の頃に買った「レイアウトテクニック」に掲載されていて、その出来の良さや、便器やバスまでスクラッチで作り出している事に衝撃を受けた事を昨日のように思い出しました。バス車庫や火の見やぐらはNゲージのローカル風レイアウトでも定番ストラクチャーになっていますが、それって城新鉄道の影響では・・・と思うのです。
バス車庫に置かれていたバスが、記事に出てきた真鍮板からフルスクラッチビルドしたものではなく、後年エコーモデルで製品化されたものだったのが少々残念
★宮下さんの作品はその作りこみの部分ばかりが注目されますが、改めて現物を拝見すると、基本的な配置や地形が良く考えられている事に気がつきます。今回は一部値段が付いて販売されているものもありました(RMM誌に掲載されたナローの小型レイアウト等)。
★諸星さんの新作は日本型軽便レイアウトなのですが、日本型を作ってもモロワールドは不変ですね。色は鮮やかで、樹木の感じが独特なのも印象に残りました。
★畑中さんの都電レイアウト(とれいん誌で制作レポートが掲載されたもの)も展示されていましたが、青野さんの「写真より実物の方が良い」という感想には同感です。

コンペティション入賞作の感想

「エコーワールド2008 ジオラマコンペティション」の入賞作(全11作品)の内の特選〜佳作の9作品について、感想を記してみたいと思います。

特選「林田駅前通り」三木さん

ある意味模範解答。多数並ぶストラクチャーが何れも丁寧な作りで、ウエザリングも文句なし。全体の配置も絶妙です。現物を拝見すると、写真撮影を意識している事が良くわかります。
印象的だったのは立ち並ぶストラクチャーの内の一軒に掲げられている「村木工業所」の看板。その書体やかすれ具合が絶妙でした。この村木工業所の建物はエムズコレクションの「鈴木オート」を組み立てたものだったのですが、看板が違うだけでまったく別の建物に見えました。

入選「ミシン商会」星野さん

併用軌道のある通りに面したミシン商会のジオラマ。自作のストラクチャーを主体としていますが、ストーリーのある人形配置が魅力的な作品です。主人らしき男が表通りに面したシャッターを開けている途中で、中にはチラリとスバル360が見えていたり、子供達が庭で犬と遊んでいたり、見ごたえがありました。
丁寧な作り、ウエザリングも自然です。

入選「通りの酒屋 昭和54年冬」増池さん

酒屋のジオラマ。自転車と人形だけがエコー製品で、あとは殆ど自作の模様です。材料は紙が主体でしょうか? 建物の屋根瓦もエコー製品ではなく紙をプレスした自作品。表に止まっている軽トラック(マツダポーターキャブ)、積みあがるビールケース、脇に置かれている軽三輪トラック(マツダK360)、これらも自作で、しかもそれらが驚くほど繊細な出来上がり。「レイアウトテクニック」で阿部さんのボンネットバスや自転車を見た時のような衝撃で、城新スピリットとでも言うものを感じさせます。製作方法が是非知りたいです。
全体に白っぽい色調で、その中で店前に止まるマツダポーターキャブの青が映えていました。諸星さん曰く、「ポーターキャブはピカピカ、もう1台のK360は草臥れている。そこにストーリーがある」との事。
三丁目の夕日的昭和30年代ではなく、敢えて昭和50年代で勝負しているところも良いです。

入選「酔曜日の夜」新井さん

人形やリヤカー・屋台はエコーモデル製品を使用しつつも、単純に並べただけではなく、素材として使いこなして世界やストーリーを造りだしている小ジオラマ
主人公?の酔っ払いはいかにもという絶妙のポーズ、頬も赤くなって左手にはおみやを持っていますが、ここまで細かく加工できるのはクリクラの一員としてHOナロー極小機関車の製作で鍛えている新井さんならではでしょう。
万年塀に向けて立小便するおっさん(塀と足元は濡れています)を作りこんだところは、城新鉄道のバス車庫の便所やその横の落書きに通じるものがあります。
人形は全部エコー製品加工と思いきや、おでん屋台で酒飲んでいるおじさんはアルモデル/栗島堂のバテロコ用運転手人形ではありませんか。バテロコ運転の疲れを癒しているのかしら?

佳作「鈴木オート」植原さん

軽便モジュール倶楽部で活躍されている植原さんのこの作品、エムズコレクションのストラクチャーキットを組み立てたもので、ブログ(鉄道と模型の雑記帳)上で制作過程をアップされていたものですが、見事佳作入賞。丁寧な作りとウエザリングはさすがで、作者の腕の確かさが分かります。
ストラクチャー単体でなく人形やアクセサリーを追加する事でストーリーを醸し出せば、入選を狙えたのではないかと思いました。

佳作「みち」早野さん

田園風景を表現した小さなジオラマですが、草木の緑が非常に良い感じで印象的。今回の作品中で、一番さわやかな感じを受けました。
エコーモデル製品を多用(耕運機やミゼット、井戸ポンプなど)している事もあってか、もし城新鉄道のレイアウトが作られていれば(実際には初代レイアウトが解体されて以後、ジオラマしか発表されていないのですが)、こういう風景がどこかにあるだろうなと思いました。

佳作「夢淡き街」天野さん

エコーのアクセサリ及びエムズコレクションのストラクチャーを多用して仕上げた街並みジオラマで、昭和30年代の定番の風景を表現しています。片隅に神社の鳥居と、本殿に向かうであろう階段があるところが印象に残りました。建物の配置はベースに対して平行ではなく、斜めにされています。ジオラマとして完結するのではなく、後日レイアウトへ組み込む事を前提として作られているようにも感じましたが、実際のところどうなのでしょうか?

佳作「コスモスの咲く頃」服部さん

小さな川を渡る鉄橋、そこに差し掛かる湘南顔の気動車。土手沿いの道では子供達が遊び、踏切の脇には小さな商店があるというこのジオラマ、実は「HO田舎電車モジュール」と同じ規格で作られている12mmゲージのモジュールで、実際に走行可能です。さらには音と光のギミックが仕掛けられていて踏切警報機は警報音が鳴り点滅、街灯は極小LEDで点灯、建物内部も照明が組み込まれています。
土手の草むらをフィールドグラスをひたすら植えて表現してあるのを「とても真似できない」と思いましたが、服部さんご本人によれば「思った程大変ではないです」との事。走っている所を見たいモジュールレイアウトです。
エコーのコンテストに1/87 12mmを出したのを「漢」と見る向きもあるかも(笑)

佳作・エンジョイ賞「東龍野町界隈」加瀬さん

商店が立ち並ぶ街並みのジオラマですが、サイズはかなり大きい(http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2008/05/post_783.htmlによれば600x400mm)です。
地面の表現やウェザリングの具合などは他の作品より少々荒い部分もありましたが、この作品は出来云々を超越しているというか、見ていて非常に楽しい作品であり、特別に「エンジョイ賞」が授与されたのも納得出来ます。
立ち並ぶ商店の一軒一軒が店先やその中まで作り込まれており、さらにはお店の2階が下宿になっていて受験生がいる(サボってますが)とか、凧揚げしている子供がいるとか、ロバのパン屋が道をトコトコ歩いているとか、見ていて楽しく、飽きない作品でした。
恐らく作るのには相当な労力を費やしているのでしょうが、作者の方が楽しんで作られているのが伝わってきます。

その他思った事

★映画版の三丁目の夕日「ALWAYS・三丁目の夕日」)は一般的には昭和30年代を「懐かしい」と思う層にうけたのでしょうが、鉄道模型ファン的には、あの映画そのものが一つのレイアウトであるところがウケたのでは?と思うのです。
鈴木オートの建物も、本物の昭和30年代の建物よりもそれらしい感じがするというか、いかにもモデラーが好きそうなデザインで、だからこそ模型のストラクチャーとしても人気が高いのかもしれません。
★今回会場は撮影禁止だった訳ですが、実は撮影禁止の札は割合控えめに貼られていて、気がつかずに撮影している人も数多くいました。係の人も特に注意している様子も無かったです。撮影禁止はそれなりの事情があるようで構わないのですが、有料でもいいから、展示作品のカタログのような物が欲しかったです(美術展などで良くありますよね)
★長者丸氏によれば会場の丸善のある丸の内オアゾって国鉄本社の跡だそうですが、ナローファンだから国鉄なんて言われても分からんですよ(笑)
(2008/6/16 20:10追記)コンテスト入賞の植原さんのお名前を間違えて記載しておりました。失礼致しました。

(2009/03/15 追記)

ネコ・パブリッシングより発売された「昭和の鉄道と暮らし エコーモデルとその世界」というムックに、このコンペティション入賞作の写真と記事が収録されています。興味のある方はご覧下さい。

模型鉄道でよみがえる昭和の鉄道と暮らし―エコーモデル・その世界 (NEKO MOOK 1226)

模型鉄道でよみがえる昭和の鉄道と暮らし―エコーモデル・その世界 (NEKO MOOK 1226)

関連するリンク

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