軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

TMS2009年7月号を読む

★今月の鉄道模型趣味(TMS)誌ですが、表紙からいきなりナロー、木曽モジュールですよ。今号はレイアウトの記事が多くて個人的には嬉しいところです。
★表紙にもなっているのは、木曽モジュール倶楽部連載(1)「八丁暗がり」木曽モジュール倶楽部(KMC)のU太さんの作品です。本文によれば「2008年秋の軽便鉄道模型祭でお披露目した新作モジュール3台における、三者三様の情景表現についてご紹介致します」との事で、来月、再来月と掲載される模様であります。
KMCという事で当然HOナロー9ミリ、現物を軽便鉄道模型祭でご覧になった方も多いと思いますが、その雄大な風景はインパクト大です。
★その次のページの記事は大塚氏の「Nゲージ・1100×700mmで作った秩父鉄道風レイアウト」秩父鉄道は最近人気のプロトタイプですね。やはり電車だけでなくて貨物列車は走るし保存蒸機の牽く客車列車は走るし、しかも風景的にも見栄えのするシーンがいろいろだし…という事なのでしょうね。
写真のキャプションでも触れられている通り、線路の高低差はありませんが、地形を工夫して非常に立体的な風景となっています。線路のプラン自体はシンプルですが、地形を含めた全体のデザインが良く出来ていて、Nゲージのレイアウトを作る方には参考になる良い例ですね。市販品を上手く活用しながら秩父の雰囲気を良く出しています。
★Nゲージレイアウトはもう一つ、植竹氏のコロラドエスタン鉄道 煉瓦通り線」が掲載。900×450とコンパクトなサイズのアメリカ型市街地レイアウト。建物に照明やネオンサインを組み込んであったり、見せ場となる小シーンを作ってあったり、さすが手馴れたベテランの作品であります。
★前号のはまりんさんに続いて、今号でもOナローレイアウトの記事が掲載。神戸の野村徳一郎氏による「オー!ナロー・パラダイス 第二次奥麻耶鉄道」です。走る車輌も相まって、個性的で好ましい「奥麻耶ワールド」が展開されています。
このレイアウトはまったくの新作ではなく、以前に2004年2月号(721号)で発表されたOナローレイアウトを再構築したもので、本線部分の寸法は1800×800。該当の号をお持ちの方は今回の記事と見比べてみると良いでしょう。本線を廃止し、ヤードセクションの周囲にエンドレスを新設してありますが、複雑なプランよりもシンプルなプランの方が結果的に楽しめるという事ですね。新たに追加された終着駅で「栂の森ジャンクション」の名前が復活。青野さんが書かれている通り、その栂の森駅の駅舎として小林信夫氏の記事による例の駅舎が使われています。スペースが限られたレイアウトでは、使い勝手のよいデザインなのですよね。
そうそう、ナロー模型ネット界をチェックしている方であれば、軽便祭での栂森鉄道社長とのトップ対談の下りに思わずニンマリとするかも(笑)
★小林信夫氏の「ストラクチャー工作雑感」の3回目は「空港建設に関する諸考察」。かつてグリーンマックスのカタログで「1/144スケールノススメ」*1というNゲージのレイアウトに1/144スケール飛行機プラモを組み合わせて遊ぼうという小林氏のイラストによる記事がありましたが*2、時を隔てた続編ともいうべき記事。最近良く出来た1/144スケールの飛行機が食玩として発売されていますが、それを利用してNゲージレイアウトに空港を組み込もうという方は一読の価値あり。レイアウトにいかに空港を組み込むかのアイデアが記されています。
★「製品の紹介」ではPIKOのGゲージレールバス(DBのレールバスがプロトタイプ)が取り上げられていますが、これは我々ナローファンの愛した軽便ムード溢れるGゲージではありませんね。
★先日開催された静岡ホビーショーと、同時に開催されたグランシップトレインフェスタ2009の写真によるレポートも掲載されていますが、グランシップに集まったファンの方々の作品の中で気になったのは、倶楽部N・HO清水の高柳氏のレイアウト。キャプションには「懐かしいトミーナインスケールを発展させたレイアウト」とありますが、これはトミーナインスケール(トミックスになる前のトミーのNゲージブランド。バックマン/香港ケーダー社の製品のOEMが主)のプロモーション用?に販売店に配られた完成レイアウトをベースにしているのではないでしょうか? 近所のオモチャ屋あったNゲージレイアウトが今にして思えばこれだったような気がします。当該ページを見ていただければわかりますが、KATOのデスクトップレイアウトのように、バキュームフォームによるレイアウトベースに彩色及び線路を敷設したもので、前面に「トミーNスケール」のロゴが入っています。
(2012/01/09追記)このレイアウトですが、トミーナインスケールのカタログ(日本型車輌が出る前なので、1973年頃?)を見たところ、「狭い場所でもレイアウトが楽しめる! 特別製プレイグランド」として掲載されていました。プレイグラウンド(大型)が2000円、プレイグラウンド(セット用)が1800円とあるので(いずれも線路やアクセサリーは別売)、一般にも販売されていたのでしょう。
★連載「戦後日本 鉄道模型 製品の歴史」では古市製作所製のBタンク「ミニローラー」が登場。西裕之氏によりレポートされています。モーター専業メーカーの古市が機関車も作った事があった…という話は昔のミキストでも書かれていましたが、鉄道模型社のBタンクとして知られていた製品が、実は古市の製造になるものだったとの事。
★車輌関連の記事では、北野美喜男氏による「都営新宿線 大島車両検修場の車輌移動機」インパクトがありました。プロトタイプ(大型の凸型のバテロコ)の特異性もさる事ながら、赤外線コントロールチョロQのメカを利用して線路に通電されてなくても赤外線リモコンで制御・走行するというのもユニークです。
★まだまだ書きたい事がありますが、とりあえずこの辺りにて…

*1:グリーンマックスカタログVol.6(1985年)掲載。後に「GMマニュアルVol.1」に再録。ちなみに「GMマニュアル」はカタログの製品紹介以外の記事を集成したものですが、ポポンデッタで7000円!という値段が付いていますね。それだけ探している人が多いのか…

*2:イラストだけでなく文章も恐らく小林信夫氏の手になるものだと思われます