軽便鉄模アンテナ雑記帳

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TMS2009年12月号を読む

鉄道模型趣味 2009年 12月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2009年 12月号 [雑誌]

鉄道模型趣味(TMS)誌の12月号を買ってきました。
ついこないだ2008年12月号を買ったような気がするのですが、1年が経つのが早いですね〜
★表紙は16番の富山港線73系電車。模型でも人気の高いプロトタイプで、TMSでも過去に何度も作品が発表されています。今回発表の長久氏の作品はキット組立ではなく、真鍮板による自作。平滑なかつシャープな側面は自作ならではですね。プレス製のキットだと、案外凸凹してたりカエリがあったり窓抜きがダレていたりしますから。それともう一つ、この作品は缶スプレー(アサヒペンのメタルプライマースプレーとGMスプレー)で塗装されているとの事。何も大層な機材が無くても、雑誌の表紙を飾るような作品が塗装できるのでありますよ。
ところで、富山港線は買収国電やら旧型国電が最後の活躍をする路線だったのが、今ではLRV化されて富山ライトレールとなり、Nゲージでもお馴染みのポートラムが走っているのですから、何とも隔世の感があります。
★車輌作品では鈴木氏のHOゲージ作品、オーストリアハンガリー鉄道の蒸気動車MAV150も目を引きました。蒸気動車というと通常客車ですが、このプロトタイプは客室でなく貨物室が付いています。国鉄にキワ90というのがありましたけど、それの蒸気動車版で、国鉄風に言えば「ジワ」というところでしょうか。ナローのフリーランスのネタに良いかも。
★大ベテランである伊藤剛氏も「私の8620その後」(OJゲージ)で久々に登場。TMS666号に発表した作品をナンバーにちなんで86歳と20ヶ月(!)を期限に改良工事を施したとの事。
★レイアウト記事はNゲージ秩父鉄道波久礼駅』モジュールを作る」が掲載。秩父鉄道は最近車輌・レイアウト共に人気ですね。旧国鉄、都営、東急、西武とバラエティ豊かな電車に加え、蒸機が牽く観光列車や電機の牽く貨物列車も走り、しかもレイアウトにしたくなる風景が一杯だからでしょう。それはさておき今回の記事で注目すべきなのは筆者撮影の写真。屋外撮影で背景に実際の風景(山並み)を使用しており、これが非常に効果を上げて雰囲気の良い写真となっています。誌上の掲載されるレイアウト写真でも背景に無頓着な場合が多々あり、最近では編集部側で画像処理で消したり切り抜いたりしている例もあります。背景画を書くのは難しくても、このように実際の風景でマッチするものを背景として撮影する事はもっと行われても良いと思います。
★10月に開催された第5回軽便鉄道模型祭の写真レポートが7ページに渡って掲載。三脚とライトを使って気合入れて撮影しているだけに、綺麗に撮れていますね。既にネット上でいろいろな方々がレポートされているので今更と思う方もいるかも知れませんが、雑誌のこのようなレポートは速報というよりアーカイブとなるものでしょう。10年後、20年後に、2009軽便祭のレポートをしたブログ記事やWebページがどれだけ残っているかというと、残念ながら少々疑問もありますし・・・
★軽便祭のレポートに続いて、大谷氏のHOナローパイク「1号機が走る砂利採り軌道」が掲載されています。大谷氏と言えば少年時代からTMSレイアウトコンテストの常連で、作品が度々TMS誌上に掲載されていましたが、それらに良く写っていたのがピンク色に塗られた乗工社の加藤型DL。今回の記事では大谷氏にとって「1号機」であった加藤型DLをレストア・加工して、それに似合うミニレイアウト(エンドレスにはなっているけれど、ジオラマに近いかも)を製作。本文では製作法ではなく、1号機たるこの機関車への思いを語られています。
★小林信夫氏の連載「ストラクチャー工作雑感」ですが、今回は「0番駅の作り方2009」。Oゲージサイズの駅舎の作り方ですが、実際には「作り方」というよりも、いつもの小林節による考察その他の文章の方が長い記事。元ネタが掲載されていたという菊池文雄・国峯孝太郎氏の著書「鉄道模型の作り方」(誠文堂新光社)という本は昭和30年代には人気のあった入門書の様で、先輩から少年時代に鉄道模型工作に導いてくれた本として思い出話を伺った事があります。
記事の冒頭で「(当時のTMSは)やはり小学生には敷居の高い面もあり」「あまり街中の中小書店にまでは流通しておらず」と書かれていますが、これは小林氏の個人的な感想や印象ではなくて、現在50代〜60代の方々からは異口同音に「TMSは同人誌的だった」「何を書いてあるのか良く分からなかった」「難解だった」という思い出話を聞きます。そもそもTMSは本屋では売っていなくて、模型店で買う雑誌であったのです。
ところがその下の現在40代の世代になると、初心者向け総合模型工作雑誌が衰退した時代であるせいか、最初からいきなりTMSを読んでいる事が多いのです。TMS自体もカジュアル化?というか、それ以前よりも内容が一般化したり、一般書店に並ぶようになったり*1、初心者向けに増刊「プレイモデル」(現在のNゲージマガジンの前身)*2を出したりしている訳ですね。
そのような訳で、日本の戦後模型史をまとめるとしたら、TMSやとれいんだけでなく、「子供の科学」や「模型とラジオ」、「模型と工作」といった雑誌やそこで掲載された記事の存在も考えるべきかと思うのですが、それらの雑誌の多くが廃刊になっていたり版元そのものが無くなってしまったり、現物を保管されている方も数少なかったりで、断片的な思い出話で終わってしまいがちであります。1970年代後半に「子供の科学」に87分署が連載したナローの入門記事にしたって、手元に残しておられる人は殆どいないのが現状ですし*3
余談(長過ぎ!)はさて置き、今回の記事の駅舎はレトロモダンな感じで良いですね。レイアウトというと木造駅舎が定番ですが、このようなモルタル作りの駅舎はローカル私鉄であっても案外存在していましたし、レイアウトのビジュアル的にもクリーム色のモルタルに赤い屋根の駅舎なんてアクセントになって良いかなと思うのですが、如何でしょう?
★そうそう、今月は12月号という事で、巻末には毎年12月号恒例のインデックスが掲載されています。これを見ながら今年一年を振り返ってみるかと思ったのですが、長くなりますのでまた別記事にしたいと思います。

*1:古本屋に出回っている率などからすると、1970年代半ば位から部数が大幅に増えているように思えます。SLブームとその後のブルトレブーム、そしてそれに付帯するNゲージブームが要因に思えますし、1970年代半ばに創刊されたとれいん誌が現在まで続くに至ったのも、それらのブームがあたかもブースターロケットのように作用したのもあるのではないでしょうか?

*2:初期のプレイモデルを見ると、今のNゲージマガジンとは相当に感じが異なります。ちなみにプレイモデル初期はダックスストーリーでお馴染みの87分署が編集を担当していました。

*3:もしおられたら、是非コ・・・(以下略)