軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

PECO/GEMのダグラス


先日雀坊さんがGEMのOO9ゲージ*1ダグラスのキットを入手された様ですが、実は私も以前に購入し、組み立てたものが手元にあるのです。今回はそれをご覧頂こうと思います。
★この「ダグラス」(Douglas)。イギリスのGEM製のホワイトメタルキットで、下回りにはアーノルトのNゲージBタンクを流用するという、イギリスのナロー製品ではごく標準的なフォーマット。プロトタイプはイギリスの保存鉄道であるタリリン鉄道の6号機ダグラス。機関車トーマスに出てくる「ダンカン」のモデルでもあります。
★1970年半ば、TMS(鉄道模型趣味)誌の発行元である機芸出版社がPECO/GEMのこの種のナロー蒸機ホワイトメタルキットを輸入・販売していまして、日本のナローゲージャーにもお馴染みの製品でありました。「ジャネット」(GL-1)、「ジェームス」(GL-2)、「バリキット」(GL-3)「ドルゴー」(GL-4)、「ダグラス」(GL-5)と5種類がありましたが、バリキットに次いで人気が高かったのはダグラスだったように思います。ご覧のように日本型軽便レイアウトに溶け込みやすそうな形態だからでしょうか。接着剤で組み立てられるし(というより、ハンダで組もうとするとトローリとろけてしまう事必須)、下回りはNゲージ完成品を流用するので調整等も不要。しかし日本の現在のホワイトメタル部品の出来とは大違いで、おおらかというか味があるというか・・・。
★しかし、このダグラス君。下回りに指定されているアーノルトのNゲージBタンクが高価かつ入手難であるという難点がありました。実際どれだけの人が、純正指定されているアーノルトBタンクを使用出来た事でしょう。
★私がこのキットを入手したのは確か1990年頃。TMS誌上の広告を見て通販で購入したもの。小林信夫氏が初めてTMS誌に登場された「ナロー蒸機2ダース+1」という記事(1990年6月号)が掲載された際に同時に出た広告で、恐らく最後の在庫を放出したのでしょう。以前にも書きましたが、この記事はバリキットやダグラス、あるいはいさみやの雨宮などのナロー蒸気ホワイトメタルキットへのレクイエムとも言える記事であり、この中で小林氏はこう書かれています。

今では1/87のコッペルやクラウスが幾つも出ているのですが、少なくとも私にとってはこのキットの「味」に勝てません。
向こうのスケて見える極細ボイラーに、更に細い煙突、キャブ後妻の出窓(?)も如何にもケイベンっぽくて大好きです。
(「鉄道模型趣味」1990年6月号 P.21)

★上回りは入手したものの、下回りに使うアーノルトBタンクは入手できぬまま暫く温存しておいたのですが、1990年代半ばにイギリスの雑誌に広告を出していたアングリアン・ライトレイルウェイズという通販専門店のリストにこのアーノルトBタンクの下回りだけの在庫が掲載されているのを発見し、すかさず注文(といっても、この頃はネットではなくエアメールでしたが)して無事入手に成功。晴れてダグラス君は完成したのであります。つい昨日のような気がするのですが、既に10年以上前の話なのでありました。
★そうそう、ドルゴーとダグラスは実はPECO製品ではなくGEM製品で、TMS誌の広告を見ると「GL4・5はGEM製品をPECOを通じて輸入しておりますので、小売店販売はいたしません。」と書いてありました。

*1:1/76 9mmナロー。イギリスで用いられているゲージ