軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

TMS2011年4月号を読む

鉄道模型趣味 2011年 04月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2011年 04月号 [雑誌]

★例によって昔の号を紹介するのでは無いかと思った皆さんも多いかと思いますが…
今月はいち早く早売りの号を入手できたので、最新の2011年4月号のTMS(鉄道模型趣味)誌をご紹介したいと思います。
★表紙になっているのは「鹿島鉄道 浜駅の春」。廃線となった鹿島鉄道の実在の駅をプロトタイプとした16番のジオラマで、桜の花咲く風景が魅力的です。
表現力もさる事ながら、実在の風景をモチーフにしたゆえのリアルさも感じます。表紙に使われている写真も含め、自宅のベランダでコンパクトデジカメ(リコーCX1)で撮影したとの事。背景となっているのは実物の空という訳です。
★実は桜の咲く風景のジオラマはもう一つ掲載。おなじみ大谷全彦氏の「桜のある風景」。1/80サイズの桜の木をミニネイチャーを使って作ってみたとの事。樹木1本ですがミニネイチャー2パックと銅線200本を使い製作したという手間の掛った作品。夜桜シーンの写真が見物です。
★集合式レイアウトのベテラン・大野氏Nゲージモジュール「川越鐵道谷地炭鉱専用線」の記事がいよいよ掲載。ご存じの方も多いと思いますが、昨年、一昨年のJAMコンベンションに出展された炭鉱と桟橋を持つ迫力ある力作モジュール。既に現物をじっくり見ているとは言え、こうして雑誌記事となっていつでも見る事が出来るのは嬉しいですし、JAMで見た際には気が付かなかった部分を改めて発見する事も出来ました。とにかく素晴らしいレイアウトです。
★レイアウト記事はあと一つ、「泉州交通「春風線」と「節夏線」」が掲載。900×600mmのNゲージ地方電化私鉄風レイアウトで、トミーテックのジオコレやミニカーブレールを主に使用、走る電車は15m〜18m級の私鉄電車が主体。既製品を最大限に利用しながら楽しく賑やかなレイアウトに仕上げています。交通博物館があって各種の路面電車が展示(Nゲージサイズの食玩や飲料のオマケの電車を使用)されていたり、教会の前で結婚式していたり、桜が満開でお花見をしていたり…。作者の方が楽しみながら製作している事が感じられて好ましいレイアウトです。
★連載41回目の「広告に見る 戦後日本鉄道模型製品の歴史」。今回は西裕之氏によるHO用ベーカーカプラーの歴史及び各社のベーカーカプラーの紹介と、カワイモデルの80系電車について。今やすっかり絶滅してしまったベーカーカプラーですが、考古学ファンや古い製品を集めて楽しんでいるファンには今回の記事は必読かも。あとカワイモデルの80系に真鍮製以外にペーパー製品もあったとは初めて知りました。
★小林信夫氏の「フリーランス雑感」は「あなたの青大将編成に密閉式展望車を!」。東海道線の客車特急「つばめ」「はと」に使われたグリーンのスハ44系編成は模型でおなじみですが、最後尾の展望車は新造が計画されながらも結局戦前型のマイテ49、マイテ58やダブルルーフのマイテ39をグリーンに塗って使ったのは御存じの通り。今回の作品は2011年1月号の「戦後日本鉄道模型製品の歴史」に写真が掲載されていたカツミのOゲージ自由形密閉式展望車にインスパイアされ、それを20m級に引き延ばしてアレンジして16番ペーパー自作で製作された物で、何となくありそうなスタイルになっています。
★「木造国電モハ10編成の製作」はモデルワークス製16番ペーパーキットをベースに仕上げた作品。レーザーカットによるペーパーキットは最近多数発売されていますが、木目の筋が大量にある木造車こそレーザーカットのペーパーキットに適しているように思えます。この手の新世代?ペーパーキットはメーカーのWebページが充分でない事も多く、こうして良い作例を模型誌の誌面にて大きな写真で見る事によって、買ってみよう・作ってみようと踏ん切りがつく方も少なくない筈。
★「スカイブルーの国鉄103系」は昔発売されたエンドウのキットをかっちり組み立てた作品。キット購入から23年掛けて完成に至ったとの事。そういえば最近は101系や103系の模型作品が増えていますね。
★「名鉄デキ370の製作(その1)」は一見フクシマ模型のキットを組み立てたものかと思いきや、真鍮によるフルスクラッチ。カッチリとした出来は腕の立つファンによる自作ならではと感じます。TMSコンペ2010で入選した作品ですが、やはり上位入賞作は細かく作ってある以前に、基本がしっかり作られている事を実感します。記事中の天賞堂パワートラックの蓋の改良法(台車枠を取り付ける際に裏蓋を外す必要があるが、爪を折ってしまう事が多い)は多くの方に参考になるかと思います。
★「DD54量産試作機を作る」は、上回りはプラ板による自作、下回りはKATO-HOのDE10の動力を改造して製作された力作。フィルターやファンもプラ板で自作されています。
★NMRC(名古屋鉄道模型クラブ)クラブ競作「思い入れの車輌」の7回目は「大井川鉄道井川線DB1型と客車&DKBMタイプの2軸客車」。プラ板自作によるナロー9ミリ作品。井川線DB1は現存する事もあって多くの人に親しまれているプロトタイプですが、これをHOナロー9mmで模型化したもの(実物は762mmナローではなく1067mm軌間)。プラ板自作による作品で、動力はKATOのNゲージ電車動力台車+チョロQギアによるネット上でもおなじみの方法。DKBMタイプの2軸客車は鉄道ファンの旧号に出ていたDKBM(ドイツの保存鉄道)の紹介記事にあった写真を元に製作されたもので、これまたプラ板自作上回り+Nゲージ貨車下回りによる作品。競作テーマが「思い入れの車輌」という事で、本文中には1970年代〜80年代にかけてのNゲージ小型車輌製品や、それらが活躍していたNゲージ小型レイアウトの名作(美吾旅鉄道やケンタッキーコーヒーライン)の思い出、ナローに転向しようかと悶々とした話なども書かれており、ある一定世代の方なら懐かしく、かつちょっと切なく思い出すものがある筈。
★「年の初めに鉄道模型を考えた」は、TT9でお馴染みのいのうえ・こーいち氏による一文。いのうえ氏は鉄道・自動車系のライターとして活躍する一方、ここ10年程はオレンジカンパニーの大野一郎氏と共に1/120 9mmで日本型の狭軌車輌を模型化する「TT9」の製品をリリースしておられますが、この記事では伝統的な日本の真鍮製鉄道模型製品の今後に対して感じる危機感を書かれています。メーカーとして活動している方ではあるものの、記事の内容はありがちなPR記事ではなく、メーカーでもあり趣味人でもある立場からみた本音と戸惑いとでもいうべきもの。一読して私としても色々と思う事があったので、後日まとめてみたいと思います。
★ご本家(?)の「メディアチェック」欄ではアメリカで発行されたOn30アニュアルを紹介していますが、その下でオーストラリアのIxion Model RailWaysなるメーカーから発売されたOn30の蒸気動車、通称「Coffee Pot」を紹介しています。ナロー鉄模関連のサイトを良く見ている方であれば、先日akinoriさんがHOナローで製作された「Coffee Potもどき」を御存じかもしれませんが、その元ネタであるプロトタイプをOn30のプラ製完成品で製品化したもの。まだ日本では輸入されていないと思いますが、欲しくなるOナローファンも多いのでは?

★毎年恒例の根津達也氏によるニュールンベルグメッセ(ドイツで開催される模型や玩具の見本市)レポートは今号は第1回目。メルクリンプラレール、あるいはメルクリンBトレインショーティーとでも言うべき「メルクリン・マイワールド」(線路はメルクリンの線路をそのまま使う)や、同じくメルクリンiPad/iPhoneをハンディキャブとして使うアプリケーションを紹介されています。詳しくは記事をお読み頂くとして、メルクリンを持っていない方でもこれらの製品は興味深いのでは? 日本でも通常のNゲージやHOゲージと並行して、サブゲージとしてこれらの新世代?メルクリンでお手軽に遊ぶ…というファンが出てくる事も考えられます。っていうかちょっとコレは欲しいかも。「編集者の手帖」欄で(哲)氏も、古典電機が主役のDCCスターターセットに惹かれてメルクリンを始めてしまった旨を書かれておられますし…