軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

関水vsアトラス?(KATOの固定式線路について)


★Nゲージャーに長らく親しまれたKATO(関水金属)の「固定式線路」。今ではユニトラックに役目を譲り、フレキシブル線路とアンカプラー線路、車止め線路が残るのみであります。
★実は昨日から今日にかけて、ツイッター上で各社の線路の話で盛り上がっているうちに、ふと思いついて米国・アトラスの線路と関水の固定式線路を並べて比較してみました。
ご存じの方も多いと思いますが、関水金属の固定式線路は、当初アトラス製品のOEMであったのです。よく使われる標準的な直線や曲線、ポイントは関水自社生産の物に切り替わりましたが、リレーラー線路や鉄橋などは後々までアトラス製品そのままでした。
★実は、関水金属が昭和40年に初代C50と同時に当初発売した線路は後の「固定式線路」とはまったく別の物。日本型向けに枕木が長く、かつ薄茶色でモールドされており、半径はR270とR300、直線は120mmと240mmでした。
RM MODELS誌2005年11月号の「Nゲージ開発物語〜新たなる挑戦から誕生前夜まで〜」(関水金属会長の加藤祐治氏による「Nゲージ生誕40周年特別企画講演会」を誌上再録したもの)に興味深い一節があります。

加藤:もちろんレールを供給しなければ始まらないですから、自前で作ろうと考えたんですよ。やはりTMSの山崎さんに相談したら、それでは私が一緒に行くから、横浜のシノハラさんに頼んであげようということになったんです。
名取:え、でも最初に発売された直線レールと曲線レールはシノハラさんのレールではないですよね。
加藤:そう、断られてしまったんですよ。それで仕方なくトリックスに相談して、トリックスから供給してもらうことにしたんです。でもトリックスはまた別のところに頼んでしまったらしく、最初のレールはいったいどこ製なのか今もって知りません。ひょっとすると東欧あたりなのかもしれないですね。

(加藤:加藤祐治氏、名取:レイルマガジン編集長・名取紀之氏)
…つまり、最初の線路もデザインは日本型向けになっていたけれど、実際の製造は外注、しかも国外だったという事なのです。
★この初代の茶色い枕木の線路が姿を消した後、1969年に新たな規格の黒い枕木の線路が登場、これが後に「固定式線路」と呼ばれるようになったおなじみの線路です。
鉄道模型趣味(TMS)誌1969年1月号関水金属の広告には「新型線路近日発売!」とあり、これがユーザーに対する最初の告知の模様。同号の「ミキスト」欄にて、山崎喜陽主筆はこう書いています

★ところが、9mmゲージではいまのところヨーロッパ製の線路しか入手できない。アメリカでも9mmはヨーロッパから入ってきたので、ポイントもカーブもきついものを使っているのが普通で、やっと近頃大きなポイントなどが出てきた。関水金属で発売する新らしいフレキシブル線路等もヨーロッパ製である。そして、話はちがうが、今までの国鉄ふうにデザインされた枕木の長い線路は、2年にしてくずれさり、9mmもまた16番同様に外国ふうの黒い枕木で標軌型の線路を使わせられることとなった。情けない話であるが−−−。

初代線路の枕木の長さや色合いは恐らく山崎主筆のアドバイスによるものでしょう。せっかく日本型に適した線路が出来たのに、それが消え去ってしまった無念さが行間から滲み出ています。
★話が反れましたが、アトラスのNゲージ線路と関水の自社生産になった固定式線路、比較してみたところ、思ったより違いがありました。
一番の違いは、関水自社製は長さ124mm(公称・実測共に)なのに対して、アトラス製は長さ124.5mm(実測)、つまりアトラス製の方がコンマ5ミリ程度長いのです。
関水の線路ラインナップにおいて、通常の直線124mmは自社製、同じ長さである筈のリレーラー線路や鉄橋はアトラス製だった時期があるので、レイアウトによっては狂いが出て設計上合う筈のところが合わない…って事もあったのではないでしょうか?
そして驚いた(というより呆れた?)ことに、アトラスはこの長さ124.5mmの線路を「5インチ」と称しているのです。5インチ≒127ミリなので公称値と実際の長さに約2.5ミリの違いが…。

▲画像は上がアトラス製、下が関水金属製。
さらによく見てみると、関水製の方は枕木の間隔が広くなっているのです。アトラスのアメリカの標準軌をモデルにした枕木間隔では、日本型にはあまりに似合わないからではないでしょうか。やま氏が嘆いた枕木の長さと黒い枕木は改善されませんでしたが、何気に変えてあったのですね。

▲左がアトラス製、右が関水金属製。
アトラス製と関水製を見分けるポイントは接続部にあります。上の画像を見て頂ければお分かりになると思います。
★関水の固定式線路の品番(#2500番台を使用)ですが、関水自社製になったものでも、アトラスの品番をそのまま使用しています。それともう一つ、関水の初期のレイアウトプラン集に掲載のレイアウトプランも、どうもアトラスが用意していたものをそのまま使っていた模様です。

上のページにあるN-11001というプラン、「Nゲージ蒸気機関車」さんが紹介されている1972年の関水金属レイアウトプラン集の「最小サイズの側線付き環状線(N51)」と同一である事が分かります。

★関水(KATO)の固定式線路はほぼカタログ落ちしてしまいましたが、アトラスの線路の方は現在でもアメリカにて販売されています。

また、バンダイBトレインショーティー用のR100線路セットは製造がアトラス。R100カーブはバンダイの為に新たに起こしたものですが、直線はアトラスの品番2501の直線線路そのものです。