軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

第7回軽便鉄道模型祭の個人的レポート(その3・クリクラでクラクラ)


第7回軽便祭のレポート3回目は、クリッターズクラブブースに集まった作品をご紹介しましょう。
なお、コッペル祭については前々回で取り上げておりますので、そちらをご覧下さい。

ゆる〜いOn18


クリクラブースの向かって右側では何やら怪しい車輛が…

ゆるーいOn18大集合。林鉄研究の権威であるN先生に「実にアブない」「ウイルス感染しそうだ」とのお褒めの言葉を頂きました(笑)

たむちん氏製作中のこのOn18機関車。実は…

なんとチェーンドライブ。実物よろしくチェーンによって車輪を駆動、連動しているのです。タミヤから出ているプラモデルのオートバイのディテールアップ用エッチングパーツのチェーンを使用したものとの事。

その走りっぷりとチェーンの動きは是非とも動画でご覧下さい。(上の画像をクリックすると、動画が再生されます)

ダックスストーリー登場のレイアウト


87分署により鉄道模型趣味(TMS)誌に連載された記事「DACHS STORY」に掲載された「町線のサブレイアウト」(HOナロー9ミリ)が登場。おそらく一般公開された事自体初めてだったのではないでしょうか?

真ん中をくり抜いてあるこのデザインですが、以前エコーモデル・その世界展で開催されたトークショーにおいて、宮下洋一氏が「風景を切るという手法を使った事に当時物凄いインパクトを受けた」「それ以来、風景を先に描いてハサミでバサッと切る事をしている」と語っておられました。
このレイアウトが発表されたダックスストーリーの記事では、以下のように書かれています

天地方向に伸すことによって表現できる山岳風景と異り、平面方向の広がりを主眼とする町線では限られたレイアウトスペースの中にそれを表現する以上、思い切った発想の転換をはかる以外に解決の方法がありません。
我々はカッティングによる想像空間の広がりという約束事を前提とすることにより錯覚的な効果を期待し設計に着手しました。このような約束事は時間経過を表現する映画の手法や、歌舞伎の黒子などにみられるもので、我々は「黒子の思想」と呼んでおります。
鉄道模型趣味1973年8月号(No.302)the DACHS STORY(6) 6.町線のサブレイアウト(87.PRECINT)より)

草木の表現などが今となっては古い技法ではあるものの、基本的なデザイン…地形や線路配置は40年近く経った今の目で見ても非常に優れていると思います。

単端は雀坊さんの作。A型フォードのエキゾーストノートが聞こえてきそうなシーンです。

カーブの曲がり方で気付かれると思いますが、実はこのレイアウト、寸法はそれほど大きくなくて700mm×700mm。台枠にこたつやぐらを再利用した為にこのサイズになったのですが、実際以上に大きく広がりを感じるレイアウトなのです。

乗工社広告のレイアウト


昨年末にヤフーオークションに出品されていた乗工社のHOナロー9ミリ二段式レイアウトが登場。このレイアウトは乗工社鉄道模型ショウなどでの展示用に1979年頃に製作、鉄道模型趣味増刊「プレイモデル」4号*1の同社広告に登場しています。
当時広告でこのレイアウトをみて、「どうやって二段ループさせているのだろう?」と不思議に思っていたのです。上段と下段が別のエンドレスである事に気が付いたのは大分後になってからの話なのでありました(早く気付けよ…)。

ティンバートレッスルは当時TMS/機芸出版社で扱っていたカルスケールのNゲージ用プラキット。石垣は紙粘土を四角くしたパイプで型押ししたもの。その他全体の技法やタッチは87分署の著書「軽便鉄道レイアウトの製作」(機芸出版社刊)の作例レイアウトと共通しています。

渡り板には節穴まで表現してありますね。これはおそらく0.5ミリシャープペンシルを使うという87分署秘伝の技法によるものでしょう。
そうそう、このレイアウト、軽便祭会場において、製作者の方と30年ぶりの涙のご対面を果たしたとの事。合掌するにはまだ早いですよ〜(笑)

カゼノタニキドー

さて、今回のレポートのトリはナガウラさんの新作HOナロー9ミリレイアウト。カゼノタニキドージェネシス?。

メインとなるのはこのホッパー。ナガウラさんが地元の模型店で発見したプラキットだそうですが、これは旧東ドイツアオハーゲンというメーカーの製品(アオハーゲンは現在も活動中)。アオハーゲン製品は1990年代半ばに川口にあったフォックスという業者が輸入しており、当時TMS誌の同社広告で見た記憶があります。そんなウンチクはさておき、このレイアウトのストラクチャー、詰所は乗工社の古のキット(ボール紙に角材やSTウッドを貼りつけているアレ)、ホッパーは旧東独のプラ製品、手前の駅待合室はクラシックストーリーのレーザーカットの最新高級キット…と、普通だったらごちゃまぜに使ったら統一感など出ない組み合わせなのですが、ナガウラさんのテクニックにより、全てが一つに調和しているのです。まったくもって見事です。

しかし、これほどの作品を雑誌に発表しないというのは勿体無いですねぇ…。当日も鉄模各誌編集部の皆さんがナガウラさんに猛烈アタックを掛けておられました。

さて、3回に渡ってお送りしてきました第7回軽便祭の私的レポート、これにてひとまず完了とさせていただきます。他にも気になった作品はいろいろとありましたが、様々な方々が軽便祭レポートをアップされておりますし、鉄道模型各誌にも掲載されております。それらも併せて見て頂く事をオススメいたします。

*1:プレイモデルは現在の「Nゲージマガジン」の前身。Nマガ同様年2回刊行で12号まで発行されたが、1号から4号までは87分署が編集を担当していた。