軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

3月2日に思う…乗工社のミニ

今日は3月2日、ミニの日だそうであります。
個人的にはMINIというと、コレを思い浮かべるのですが↓

最近ではこちらのBMWミニの方ですよね↓

昔の自社の車のイメージを取り入れて現代版にしたこの種の車の事を、最近は「ヘリテージカー」と呼んだりもする様です。BMWミニの他、フィアット500ホンダN-ONEがそうですし、以前発売されてたミゼットIIも該当しますね。
しかし「ローバーミニ」という呼び方も馴染めませんでしたが(個人的にはミニといえばオースチンかモーリスという印象が)、今では「BMWミニ」ですからね。エネループパナソニックと書かれているよりも違和感が…。さすがにミニの方はBMWマークやブタ鼻グリルは付いていませんが(笑)
★さて、MINIは日本でも人気のあるクルマですが、かつて乗工社1/43スケールのミニの製品化を予告したのを見た事があります。掲載されたのは鉄道模型雑誌ではなく、初期の「スクランブル・カーマガジン」でした。
スクラン」の略称で呼ばれたこの自動車雑誌。今の「カーマガジン」の前身で、企画室ネコより発行されていました。初期の頃は配本部数も少なかったのか、書店に1冊だけ置いてある様なマイナーな雑誌でした。今の自動車雑誌で言えば「高速有鉛」のような存在でしょうか(志向は異なりますが)。
その誌上の囲み記事だったか広告だったかで、乗工社が1/43スケールのミニのキットを予告し、エンジンの原型の写真も出ていたのです。
★なぜ乗工社が…と思われる方もいるかも知れませんが、乗工社代表の倉持氏が鉄道だけでなくクルマ好きであり、ミニの愛好家でもあったからでしょう。そういえば1990年頃、所ジョージが司会の「所印の車はえらい」というテレビの深夜番組にアバルト風に改造されたミニと共に登場された事もありました。
★今でこそ1/43ミニカーは大人のマニア向けの製品ばかりで、相当マニアックな車種も製品化されていますが、1970年代はミニカーの暗黒時代。大人のマニアの観賞に足りるような1/43ミニカーは皆無に近かったですし、旧車が製品化される事も稀だったのです。そういった状況の中、量産品では満たされない愛好家の需要を満たすべく、ホワイトメタルやレジンの1/43キットや手作り完成品がポツポツと出現していたのでした。日本でもリーンレプリカ(ミニカーコレクターが経ちあげたブランドで、戦前や戦後初期の国産車を製品化)、カドー(ミニカー関連の問屋で、初代クラウンや初代セドリック、スカイラインS54などを製品化)、CAM(ホンダSやステップバンを製品化)といったブランドが登場しました。
乗工社の1/43ミニも同様の流れだったのかもしれませんが、結局発売される事はありませんでした。後に関係者の方から聞いたところによると、ボディは作れないので、エレールの1/43プラモデルのボディをロストに置換するつもりだったのだとか。もし実現していたら著作権的にどうだったのでしょうか? そもそもエレールのプラモデルのディテールアップパーツとしてエンジンその他を売れば良かった様な気もしますが、鉄道模型の人としては金属ボディでやりたかったのでしょうか?

▲エレールの1/43オースチンミニのプラモデル。今でも輸入プラモを扱う店に行けば割合簡単に入手可能
★その後、鉄道模型に近い筋では、1/43のフィアット500のロスト製キットがエリエイから出た事がありましたし、モデルワムがこれまたロスト製の1/43ダイハツミゼット(初期型)を出した事もありました。しかし1980年代末にポルトガルのビテス(VITTSE)が1/43ダイキャストミニカーでミニクーパーフィアット500、シトロエン2CVなどの1950〜60年代旧車を発売、これに続く形で、各国の様々なブランドから大人をターゲットとした1/43ダイキャストミニカーが発売されるようになり、日本でも1990年代に入ってエブロが発足。それによりホワイトメタル、レジン、ロストによるキットや手作り完成品はその役目を終えた感があります(最近ではレジンによる量産ミニカーというのもありますが、これは中国の工場で工業的に量産されているのであって、ガレージメーカーによる物とは性格が異なります)。
★そして乗工社は破産消滅し、倉持氏は亡くなり、スクランのネコ社はガンガン雑誌を出して大きくなったけれども、気が付いたらツタヤ(ccc)に買われて子会社に。ミニはローバーミニとして一時は日本でも大人気となるものの、ミニ生産中止後ローバーはあっけなく消滅。ミニブランドだけがBMWに引き継がれて小型車のブランドになって今に至る訳です。
以上、3月2日…ミニの日に、ふと思い出した事を書き記した次第であります。

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