軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

七軒村30周年(TMS1983年4月号)

HOナローレイアウト「七軒村営軌道」(2015/3 スワップミート同窓会にて)

★今月で東京ディズニーランドが30周年との事ですが、ナロー鉄模界的には、それよりも重要な?30周年の年であった事に先日気が付きました。
鉄道模型趣味(TMS)誌1983年4月号にナローレイアウト「七軒村営軌道」が発表されてから、ちょうど30年だったのです。
ナロー9mmによるこのレイアウトは、鉄道のある架空の村が舞台なのですが、この「七軒村」では自家用車の代わりに、一軒一軒の家が自家用鉄道車輛と引き込み線を持ち、村内の交通手段として乗りまわしているのです!
このナローならではの夢のある自由な世界観に当時しびれた人は多い筈。この記事が掲載された1983年は、今の40代のおじさん達が感受性豊かな10代の頃ですので、その世代の皆さんには七軒村は特に人気があるように思います。
このレイアウトの作者は井上雅男氏。Nゲージ東武電車、そして最近はナローのキットでお馴染みの模型店ペアーハンズの井上さんであります。

七軒村の昼下がり。蒸気動車と工事列車が佇んでいます。

★レイアウトは850×450mmで、エンドレスに引き込み線が複数、ナローのお約束のティンバートレッスルもあります。ストラクチャーは小振りの物が七軒(だから七軒村)。全体的に明るい色調で、楽しい風景が展開されています。

裏側にはティンバートレッスルと水力発電所が…(2015/03 スワップミート同窓会にて)

余談ですが、ペアーハンズが軽便祭などのイベント時に、車輛の完成見本を走らせる為のレイアウトを展示していますが、作者が同じ方だけに、作風やアイデアに共通するものを感じます。

ペアーハンズがイベント時に展示したレイアウト。良く見るとクライマックスが…(2008/10 軽便鉄道模型祭にて)
七軒村のクライマックスとカブース。後ろの一杯飲み屋も気になりますね(2015/3 スワップミート同窓会にて)
七軒村のクライマックス(2016/3 スワップミート同窓会にて)

★この後、このレイアウト用に作られた「クライマックスとカブース」(TMS473号・86年6月号)「愉快な工事列車」(TMS487号・1987年6月号)が発表され、この2つについては「ナローゲージ・ブック2」に再録されています(ナローゲージブック2はTMS2013年5月号の広告を見ると、まだ在庫がある様です2022/4/7追記:版元在庫は無くなりました)。

もう一つ、2軸トロリーカーもTMSに記事が出ていたと記憶しているのですが、該当号が見当たらず(どなたかご教示を…)→(2024/3/31追記:TMS448号・1984年9月号でした)

2軸トロリーカー。七軒村は非電化なので、バッテリーで走るという想定(2016/3 スワップミート同窓会にて)

今回あらためて記事を再読してみて、クライマックスも工事列車も単に面白おかしいだけでなく、きちんとデザインされ、しっかりと作られている事を再認識しました。
5年ほど前に杉山模型が発売した14tクライマックスが、この七軒村クライマックスをプロトタイプにしています。

また、ペアーハンズのOナロー製品の中には、七軒村テイストを感じる製品も複数ありますね。
★そうそう、この1983年4月号のミキスト欄で、有名な「なんだナローか事件」が記されています。喫茶店でナローのレイアウトセクションを前にナロー仲間でだべっていたら、いかにもヤクザっぽい人が近寄ってきて「なんだ、ナローか」と一言つぶやいて去っていったというもの。そして「編集者の手帖」欄で、これまた有名な「トイレ事件」の発端となった読者からのクレームの件が*1記されています。
★しかし、七軒村の記事に胸躍らせたのはつい先日の様な気がするけれど、既に30年を経過しているのですな。それはともかく、TMSの1980年代の号は、古本屋やオークションで安く買えるので、気になる方は入手して読んでみて下さいませ。

(2022/4/7追記)

その後、七軒村レイアウトは2015年3月に練馬で開催された「スワップミート同窓会」のペアーハンズブースにて展示。多くの皆さんが感嘆されておりました(翌2016年3月のスワップミート同窓会でも展示)。
またイベント等の機会あれば、展示していただければ…と思う次第であります。

*1:この号の前月号(1983年3月号)に掲載された北勢線名駅のセクションの記事で、ストラクチャーの屋根を外して上から撮影したカットに大便器(組み取り式)が写っていた事に対し「TMSの品位をけがすもの」「ここのページを破り捨てた」という読者からの手紙があったという事件