軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

Nゲージファインマニュアル3・小型レイアウト4題

小型レイアウト4題 (Nゲージファインマニュアル)

小型レイアウト4題 (Nゲージファインマニュアル)

SHIN企画からNゲージファインマニュアルの3冊目、「小型レイアウト4題」が発売になりました(発売:機芸出版社)。
★前2冊はストラクチャーの本でしたが、今回はレイアウトが主題で4人のモデラーによるNゲージ小型レイアウトの製作記事を収録。収録された4つのレイアウトはいずれもこの本の為に新たに製作されたもの。作者はJ-TRAKのコロラドウエスタン鉄道さん、激団サンポールボシさんとさん、それに謎のレジェンドモデラー乾氏。コロラドエスタン鉄道さんは今までに多数のモジュールレイアウトと小型レイアウトを作成・発表されていますし、サンポールのお二方も近年活発に活動されておられ、雑誌誌上やイベント等で作品を見て唸らされた方も多い筈。そんな日本のトップレベルのNゲージレイアウトビルダーを集めて作品作り下ろし・記事書き下ろしの本を作ったのですから、レイアウトファンなら目を通さねばなりますまい。
★掲載のレイアウトは以下の4作品。

  • 「天山鉄道有賀峠線」(900×450mm)
  • 「星ノ森鉄道比美津線」(1200×750mm)
  • 京急新押入線」(900×600mm)
  • 「衣縫山駅とその周辺」(700×260mm)

それぞれのレイアウトに10ページ以上を費やしていますので、通常の模型誌の発表記事よりもボリューム感があります。いずれのレイアウトもタイトル通り小型の部類に入るサイズですが、実際のスペース以上に広がりを感じる作品ばかり。大スペースが無くてもホームレイアウトは楽しめる事を教えてくれます。
「有賀峠線」はキハ04やC12が似合う地方ローカル線風の路線、「比美津線」もローカル風景ですが国鉄/JRの電車・気動車が似合う路線、「新押入線」は都市風景で京急はじめ大手私鉄電車が非常に似合う路線、「衣縫山駅」は車輌展示台ですが、両脇に折りたためるカーブ部分があるという構造(昔の87分署の「黒子の思想」を思い出します)。これらのレイアウトは既に作者の方々のブログ等で画像がアップされており、ご覧になった方も多いかと思いますが、それぞれモチーフとする風景や目指す所が異なり、なかなかバラエティに富んでいます。
★入門書によくある「作り方」的な内容ではないので、この記事をみてすぐ作れる…という訳ではありませんが、プランやアイデア、製作技法には「こんな方法があったのか!」と思わされるものが多々あり、実際に手を動かしてレイアウトを作っているファンには参考になるでしょう。この本は眺めて楽しむ本というより、何度も読み返して4人の方の技法を盗む為の本で、勉強熱心なレイアウトファンにはオススメしたい一冊であります。
★もちろん、そういった技法のいくつかはブログやSNSで書かれているかもしれないのですが、たとえ書いてあっても見落としたりする事も多く、やはりこうして一冊にまとまっていると違います。ネット上の大量の情報から自分にとって有益な情報を探し出すのにもテクニックが必要ですし、労力も掛かります。ネット全盛の世の中であっても、やはり本というのは強いのです。
★その一方で、こういった書籍や雑誌の記事の作者の方とネット上でコンタクトを取る事が容易になってきていますし、ネットを通じて知り合った人々がグループを結成し、模型界に大きな影響を与える例も増えてきています。Nゲージレイアウト界であれば「激団サンポール」がまさにそうですし、ナロー鉄模界であれば「木曽モジュール倶楽部」や「軽便モジュール倶楽部」がそれに該当します。今回の作者4名中、3名の方はブログをお持ちですので、記事を読んでさらに知りたい事があれば、コメント欄等で質問する事が出来る筈(しかし要領を得ない質問や、失礼な質問はくれぐれもしないように!)。そういった交流から、また新しい作品が生まれるのかもしれません。

Nゲージファインマニュアル3 小型レイアウト 4題
発行:SHIN企画
発売:機芸出版社
定価:1800円+税
ISBN978-4-916183-33-0