軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

鉄道模型コンテスト2017

毎年何かと話題(騒ぎ)になる「鉄道模型コンテスト」。今年は高校生レイアウトコンテストだけでなく、一般募集のT-TRAKコンテストも開催。今回はしっかりと見てきましたので、忘れないうちに記事に書いておきましょう。

高校生コンテスト

★モジュール部門の最優秀賞が共立女子中学高等学校地理歴史部、優秀賞が奈良工業高等専門学校機械研究会と慶應義塾志木高等学校との事。この3つは「高校生として」ではなく、普通に優秀なレイアウト作品でした。
どれも雑誌の表紙を飾れるレベルの作品で、全体のデザイン、色彩、工作共にレベルが高いです。
★会場やネット上での人気では、共立女子と奈良工業が拮抗していました。ぱっと見の印象では奈良工業の方が良い様に見えますし、こちらの方が好みという方もおられるでしょう。しかし共立女子の方は、上から見るのではなく、目線を下げてみると非常に印象が良い感じ。見せ場が多数ある上、全体のデザインが相当に計算されているのです。奈良工業の作品の地形デザインもよく考えられていますが、共立女子の方は狭いスペースに巧妙に押し込み、かつ不自然ではないのがなかなか。工作の丁寧さも奈良工業をわずかに上回っている感じがあり、その為に最優秀賞となったのでしょう。



★奈良工業の作品は、目線を下げずとも上から見ても(ドローン視線?)良い感じ。勿論、目線を下げて見ても良い感じ。温泉街というテーマに合わせてストラクチャーを自作していますが、風景に馴染んでいて良いムードです。


慶應志木の作品は、共立女子と奈良工業に比べて玄人好み。西武秋津駅とJR新秋津駅を模型化したもので、実景を見チーフにしている事もあって、リアリティがあります。もちろん模型化するに当たって実景をデフォルメし、取捨選択をしているのですが、模型としての見映えを考慮した上でのデザインになっています。ストラクチャー類は自作品と市販品が混在していますが、自作品もしっかりと作られていて市販品に見劣りするような事はありませんでした。そしてエアブラシを使ったという塗装も落ち着いていて良い感じです。



★一畳部門では東京都立大崎高等学校ペーパージオラマ部の作品が最優秀賞。高低差のあるダイナミックな風景で、一畳部門の中ではぶっちぎりでした。

★上位入賞以外の作品で印象に残ったものですが、まず本郷中学・高等学校技術工作研究会のモジュール。1つのモジュールを半分に区切り、片方は青函連絡船、片方は青函トンネル出口としたもので、モジュールの本線を鉄道連絡船の桟橋と車両甲板に見立てて船の中に通すというのは、なかなか思いつかないアイデア。しかもこの連絡船は実際に水に浮いているのです! 良い意味で高校生らしい楽しい作品でした。



攻玉社高校鉄道研究部のモジュールも、全体のデザインがよく考えられており、工作も丁寧で好ましい作品でした。特定の風景をそのまま模型化したものではありませんが、実際の風景をあちこち取材の上でデザインしたとの事。鉄橋はプラ材からの自作とのこと。



★宇都宮高等学校のモジュールは、手前を大きく、後ろを小さく作り、遠近感を強調した作品。手間の車はトミカ(約1/60)、奥の建物はZゲージ用の様です。こういうアイデアは思いついても実際に作る人がなかなかいません。ここまでやるのであれば、ボックスジオラマ風にして一方向からしか見えないようにしても良いかもしれません。


★大阪緑涼高等学校サブカルチャー研究部のモジュールは、有田鉄道をモデルにしているのでしょうか? 非常に丁寧かつ細かい作りで、全体の地形デザインもなかなか。非常に見ごたえがあります。背景板が白のスチレンボートなのがちょっとに残念(仮に置いただけでしょうが、せめて水色の模造紙でも使って頂ければ…)。

T-TRAKコンテスト

今年は高校生コンテストだけでなく、一般から募集したT-TRAKコンテストも開催。応募作の多くはレイアウトを作り慣れた方による作品らしく、工作は丁寧でレベルが高かったです。ただし、T-TRAKのフォーマット(横幅がせまく、線路はかなり手前寄りで、奥行きは結構ある)にどのように風景を構築するかは皆さん苦戦された様子がありました。
拝見した中で気に入ったのは以下の2作

▲こちらの作品は、奥行きが結構ある事を上手く活かして、段々畑の風景を作り上げています。トンネルはポータルだけにしているのも中々出来ぬ事。工作も非常に丁寧でした。

▲こちらは上様Rさんの作品。ブログやツイッターで製作過程をアップされていたので、ご覧になっていた方も多い筈。こちらも奥行きの深さを上手く消化し、魅力的な風景を作り上げています。こんな広場があったら行ってみたいですね〜