軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

TMS800号(2009年10月号)を読む

鉄道模型趣味 2009年 10月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2009年 10月号 [雑誌]

★今月でTMS(鉄道模型趣味)誌も800号。思えば初めてお小遣いで買ったのは402号(1981年6月号)、その前から立ち読みはしていたので(子供のお小遣いでは中々買えなかったのですよ)、なんとまぁ、その長い歴史の半分(以上)をリアルタイムで経験しているという事になるのでありますよ。我ながらびっくりです。

★さて、800号という事で盛大にお祝いするのかと思ったら、思ったより地味ですな。
400号の時は結構盛大に祝った感がありますが、500号、600号、700号とトーンダウンした感があります。しかしそれもむべなるかな。だって、後発である「とれいん」誌が今月で通巻418号、さらに後発の「RM MODELS」誌も今月で通巻181号なのです。
そもそもTMSが何で100号、200号、300号…と、区切りの度に祝っていたのかというと、創刊からしばらくの間は、大人の趣味の為の雑誌という存在自体が珍しく、また鉄道模型という趣味自体が日本では生まれたばかり、あるいは青春時代であったからなのかもしれません。
さらに、戦前の「模型鉄道」「鉄道」「鉄道趣味」といった雑誌が、戦争へ向かう世の流れに抗えずに短い期間で休刊・廃刊したトラウマ(?)もあるではないでしょうか?
★さて、800号という事でお祝いの言葉でも…と思いましたが、廣瀬さんが「TMS通巻800号を迎えてのお礼」として今月号の誌上に書かれていますので、ここではいつも通り記事を読んでご紹介していきたいと思います。
★巻頭のC59 127、キハ253とキハ714、Nの西武E31+ホキ81辺りまでは現代のTMSなのですが、その後のページはタイムスリップしたかのような感にとらわれましたよ。
★まず目についたのが、久々に登場した水野良太郎氏の記事。最近はRMM誌では良く書かれていますが、TMS誌に登場されたのは山崎主筆逝去時の追悼文以来では無いでしょうか? あの時も久々の登場という感じでしたし、一挙に10年以上前の1990年代のTMSを読んでいるような気になりました。
★大ベテランである井上昭雄氏の「1番ゲージの部品で5吋TOYを作る」ですが、JAMコンベンションで井上・星野両氏のブースや、欠伸軽便ブースを見て興奮されたような方には嬉しい記事かも。
★昔からの執筆者である河村かずふさ氏は16番の「阪急800+850」で登場。妙に車体が凸凹しているので不思議に思ったのですが、なんと実車が戦後すぐの製造で仕上がりが悪く、車体の凹凸が目立った為、模型でも車体材料に使う真鍮板をハンマーで叩いて凸凹にして表現したとの事。動力が天賞堂初代パワートラックというのもオールドファンには泣かせますね*1
★ナローファンには宮田寛之氏の「ケ800形蒸気機関車をたたえる」が必見。佐世保鉄道から買収されて国鉄籍を得た深川造船所製軽便蒸機「ケ800形」について4ページ半を使って解説。故・臼井茂信氏撮影の貴重な写真と、実車の組立図(側面のみですが)も掲載されています。
またこれにあわせて、平野和幸氏が1/77 10.5mmゲージで自作されたケ800も模型設計図と共に紹介されています。
★しかし、今号はレイアウトの記事が一つだけなのは残念でありますな。そのレイアウトは16番の板谷鉄道」。1860×1260mmですが、その上を走る車輌(フリーの電車)を含めて、良い意味で古き良き時代のレイアウトを思わせる作品。レストアされてJAMにも展示された「或るレイアウト」とか、グリーンマックス創業者の鈴木雅夫氏の「須津谷急行」あたりと共通するムードを持っています。今風に細かく作ってある訳ではないけれど、素直に「良いなぁ〜」と思います。こういうレイアウトを作って楽しく遊びたいものです。
最後のページで作者である清水氏がレイアウトで運転中の写真が1枚ありますが、その後ろにはGゲージの日本型軽便客車編成…静鉄駿遠線ハニや三交サハ150と思しき客車が写っていて、ナローファンとしてはそちらも気になります。
★と、いうように、何と言いますか今月のTMSは800号にふさわしいというべきか、昔のTMSを見ているような記事が多かったように思えたのでありました。これでミキストが掲載されていれば良かったのですが、流石に無理な話であります。やま氏も、宍戸先生も、二井林さんも、最早この世にはおられないのです。
★毎号おなじみ小林信夫氏の連載ですが、今回はOナロー(実際はスケール不詳との事)のM-10000風レールカーが佇む廃工場ジオラマ。奇しくもたむちん氏のナロー6.5mmマッキーン風レールカーが同じ号のJAMコンベンションのレポートに出ており、アメリカの戦前の有名なレールカーがナロー化されて奇跡の競演(?!)
★今月は他誌もそうですが、先日の第10回国際鉄道模型コンベンション(JAMコンベンション)の写真によるレポートも掲載されています。実は企業出展ブースの方はナロー関連以外ちゃんと見ていなかったので、今回の写真レポートで「こんなのが展示されていたのか!」と感心している始末であります(汗)
★そうそう、何でTMSにとって800号が重要な意味を持つかですが、45ページの根津達也氏による「ウソ八百からホントの800に」をお読みになるとよろしいかと。「当時は予想も出来なかった動作をする人形まで」「その殆どは、いわゆる情景写真で」という下りに思わずニンマリ(怒ってページを破ったリしないように!>真面目な方)
以前サマンサ氏が書いていたけれど、魔改造の元祖は中尾豊」だったのですよ。しかも中尾さんは性転換手術までしていた訳ですから。

*1:天賞堂は今の「パワートラック」を出す前に、それとは別のパワートラックを発売していたのです。今でもパワトラはホイルベース26ミリのものだけ、「WB-26B」と「B」が付いていますが、初代パワトラが「WB-26」を名乗っていた為、Bを付与して区別したのです