軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

佐藤一繝「PIKE」(ヤングキング2022年1月17日号)

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★ネコパブリッシングのWebサイト「鉄道ホビダス」に掲載されているWebマンガTEZMO SYNDROME」の作者であられる佐藤一繝氏による模型漫画が青年漫画誌「ヤングキング」に掲載されるとのこと。


告知のツイートにうっすらと浮かび上がるシルエットは、我々ナローゲージャーにとっての永遠のアイドル、単端式気動車ではありませんか!
という訳で、さっそく本屋に行って「ヤングキング」を買ってきました。

★この手の青年誌のパターン通り若いグラビアアイドルが水着姿で微笑んでいる表紙かと思いきや、なんか怖いお兄さんの顔が…。軽便鉄模界に語り継がれる謎事件「なんだナローか*1の762、いや893の方を思い出します。
★余談はさておき、今回のヤングキング、「模型好き作家人が描くスペシャル読切り企画!! 模型女子愛好倶楽部」として3名の作家の作品が掲載。そのうちの一作が佐藤氏による6ページの短編「PIKE」であります。
タイトルから分かる通り、パイク=ミニレイアウトがテーマ。しかもそのパイクはナローゲージのそれなのであります。
扉絵の段階で、枕木間隔が明らかにナローの線路や、いかにもナロー鉄模好きがグッときそうなスタイルの単端、そして主人公のエプロンに書かれた「2'6"」の文字などにくすぐられます。
「模型女子」のお題の通り、主人公は「TEZMO SYNDROME」と同様に若い眼鏡女子であるけれど、そこに描かれるのは老若男女問わず鉄道模型好き(特にレイアウト派)が抱くであろう心情そのもの。一般漫画誌であるためか「パイクとは?」「ナローとは?」みたいなウンチク的な説明は一切ありませんが、作成中のパイクを「ジオラマ」と言われた事に対して主人公が「レイアウト」と言い返す辺り、鉄道模型好きとして小気味よく感じます。
★主人公が製作しているのは樽をベースに使ったナローパイク。大きさからすると恐らくHOナローなのでしょうが、なかなか魅力的なデザイン。昔の松井大和氏のパイク本(「箱庭軽便鉄道 パイク」)の作例にあった一作や、桜山軽便鉄道さんの作品などを思い出します。もしかすると、そのまま模型で作成する方も出てくるのではないかしら?
余談ですが、絵に描かれたレイアウトというのは昔の中尾豊氏のTMS記事や小林信夫氏のGMカタログのイラストなどにありますけれど、実在するレイアウトを写真や実物を見るのとは違った妙な魅力がありますね。
★ともあれ、ナローのミニレイアウトを作るという趣味が、一般漫画誌によい形で取り上げられたのはナローゲージャーとして嬉しいところ。漫画としてもじんわりときて、好ましい作品だなと感じました。
ヤングキング、お近くで手に入らない…という方もいるかもしれませんが、電子版(kindle)もありますので、そちらで御覧になるのもよろしいかと思います。

*1:ナローゲージャー数人で喫茶店でナローミニレイアウトで遊んでいたら、いかにもそのスジのお兄さんがつかつかと寄ってきて「なんだナローか」と一言だけ言って去っていったという事件。当時TMSのミキストでも取り上げられた