軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

ダックスを知らない子供たち

★1993年にとれいん誌に連載されたグループワークによるNゲージ地方中小私鉄レイアウト「逗子海岸電気」。
作者であるグループZUDENの方々が書かれていますが、87分署のダックスストーリーの影響が大きいのですよね。
逗子電気軌道
逗子電はパソコン通信*1ニフティサーブのフォーラムが発端でありますが、1990年代初頭にパソコン通信をされていた世代ですから、メンバーは概ね昭和30年代生まれで、ダックスストーリーもリアルタイム(1973年に「鉄道模型趣味」誌で連載)で体験されている方々なのですよね。
★1973年の鉄道模型趣味(TMS)、87分署のダックスストーリーだけでなくて、片野正巳氏の「玉軌道」も掲載されています。そして翌1974年には同じく片野さんの「喃武鉄道」(16番古典蒸機・古典客車が活躍する昭和初期を想定した架空の鉄道)、1975年には87分署の「冬物語」(C56が活躍する北海道の架空の炭鉱鉄道)が掲載。これらの記事が後世に与えた影響は大きいかと思います。
★ただし、ダックス、玉軌道、冬物語などは、ブルトレブーム世代、Nゲージブーム世代(昭和40年代生まれ)がTMS読み出す前に掲載されているのです。
そういう「ダックスを知らない子供たち」が触れた初めて架空模型私鉄が、「逗子電」や、その2年後の1995年にTMSに掲載された「神奈電」*2・1980年代から1990年代に掛けてのTMSや1995年創刊のRM MODELS誌に掲載された「中越地鉄」などではないでしょうか?
そして忘れてはならないのは、1978年にTMSに発表された「鯨川地鉄*3。鯨川は宮下さんの「中越地鉄」にも大きな影響を与えているわけですよ。
tsurikakedensha.blogspot.com
★ところで何となくの推測なのですが、TMSって1975~1976年以降、発行部数が大幅に増えている気がします。(模型店で買う雑誌から、本屋で買う雑誌になった)
何を言いたいかというと、1975年以前のバックナンバーを古本屋で探すのが結構ホネだったんですよ。(昔はヤフオクも無かったし)。模型店などのバックナンバー在庫も1975年以前のは無かった記憶があります(1980頃)。
ちなみに1975年って「とれいん」誌が創刊された年でもあります。鉄道模型が徐々に大衆化してファンが増え、雑誌の部数や新しい雑誌が登場した…そんな時代だったと思ってよいと思います。
★何度も増刷されたTMSのレイアウト単行本3部作(「レイアウト全書」、「レイアウトモデリング」、「レイアウトテクニック」)に再録された記事なんかは、広い世代に読まれている。なので城新鉄道*4の阿部さんが、ブルトレブーム以後の世代のNゲージャーにリスペクトされてたりするわけです。
★何を言いたいかというと、ブルトレブーム以後の世代=Nゲージ世代にとって、1975年より前のダックスや玉軌道、喃武鉄道はボンヤリとしたカスミの向こうにあった…という事なのであります。
(本エントリーは、ツイッターに記載した内容を元に構成しました)

*1:インターネット普及以前に存在したパソコンを使った通信システム。

*2:鉄道模型趣味1995年9月号~11月号連載「神奈電ものがたり Nゲージによるある創作鉄道への案内」

*3:鉄道模型趣味1978年6月号「自由型ローカル電車のバラエティー 鯨川地方鉄道の車輌たち」

*4:1966年から1976年に掛けて鉄道模型趣味(TMS)誌に掲載。このうち1966年~1970年の記事が「レイアウトテクニック」に再録されている