軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

Nゲージマガジン55号

Nゲージマガジン 55号 2011年 07月号 [雑誌]

Nゲージマガジン 55号 2011年 07月号 [雑誌]

7月10日に鉄道模型趣味誌増刊・Nゲージマガジン55号が発売になりましたが、今回もレイアウト記事が満載ですので、レイアウト大好きな身としては、とりあげない訳にはいきません。
ここ数年のNゲージマガジン(年2回・7月と12月に発売)はレイアウト記事が主体となっており、TMS(鉄道模型趣味)誌のレイアウトコンペ入賞作が多数掲載されています。
★今回トップ記事となったのは「3400×2600mmの大型レイアウト・国鉄河北線と国鉄畿央線(昭和41年5月)」。2010年のTMSレイアウトコンペ入選作であり、何とカラーグラフ15ページ、記事9ページという大ボリュームでの掲載。この記事を見るだけでも本号を買う価値はあります。
1997年及び2003年にTMS誌上に発表されたNゲージレイアウト・国鉄河北線と国鉄畿央線を解体し、再構築して一つのレイアウトにしたのが本作品。模型としての見栄えや運転の楽しさを持ちつつも、非常にリアルな風景となっています。線路はフレキシブル線路(PECO・Nファイン)を使用しており、なだらかでゆるやかなカーブが美しくかつ実感的です。
レイアウト上には見せ場も多く、単純にリアルというだけでなく、見る楽しさがあるレイアウトです。やはり、解体・再構築はされていても、長年掛けて作られたレイアウトゆえに、細部を含めて熟成されており、それが見る楽しさにつながっているかもしれません。
★「関西本線(JR大和路線)第四大和川橋梁」は同名の実物を1800×300mmのスペースで再現した力作。今号の表紙写真となっています。将来的に集合式レイアウトのモジュールとして使う事を前提としたそうで、クルマさえあれば運搬できる現実的なサイズに収まっています。作者の方によれば完成後も一人で持ち運び可能との事で、記事中では触れられていませんが台枠に持ち運び用の取っ手も取り付けられています。
表紙写真にも写っている桁受用のトラスはプラ材による自作との事。奥行が300mmの割にはそれを感じさせませんし(撮影時に背景画を設置している効果も大)、実景をモデルにしているから当然といえば当然ですが、地形、川、鉄橋、そしてそれらと交わる道路の配置が絶妙なのです。架空の風景を作る場合でも、どうすればリアルになるか…という事を教えてくれる気がします。
★「単線非電化の延長路線」は以前のNマガに発表された都市近郊路線レイアウトの延長として製作された1820×650mmのレイアウト。線路配置はシンプルですが、単純なエンドレスとはせず、奥側を勾配で持ち上げ、さらにSカーブを入れているのがポイント。作者の方によれば今後は背景画を取り付けたいとの事で、記事中では編集部の手により背景画を付けた後の様子をデジタル合成でシミュレーションした画像がありますが、これを見ると背景画が絶大な効果を発揮する事を実感します。
★「棚田があるスペース:600×400mmの小型鉄道」はキハ04の走る小型非電化レイアウトで最小半径はR120。小さいサイズでシンプルなレイアウトですが、棚田や川があり、変化のある地形で見ごたえがあります。フレキシブル線路を使ったり、駅本屋が自作だったり、棚田の石垣は小石を積み上げていたりと、中々手が掛っていています。作者の方は25年ぶりのレイアウト製作だそうで、その間はキハ04 8の保存活動に参加されていたとの事。前作は土浦駅の駅本屋をNゲージサイズで再現した力作「印南鉄道妻怒線・印南駅」(TMS447/1984年8月号。のち「Nゲージレイアウト3」に再録)。熱中し過ぎて新婚の奥さんが怒ったから妻怒線…というエピソードをご記憶のベテランNゲージャーもおられる筈…
★「樹木に囲まれた「沼ほり線」」は330×300mmの小さなパイク。初心者女性2名が男性モデラーのアドバイスを受けて製作したという作品。神秘的な森の中を走る鉄道で、緑の森や鳥居、つたのからまる小さな駅舎、列車の通過を待つイノシシ…と、その風景に何とも不思議な魅力を感じるパイクです。ベースボードの断面部分を粘土を盛って岩っぽく仕上げているのは今まであまり見なかった手法ですが、なかなか効果的です。
★「野老鉄道 八国山線」は820×600mm。トミックスのミニカーブレールを使い、走っている車輛は鉄コレ…と書くとよくあるミニレイアウトのように思えてしまいますが、高低差のある起伏に富んだ風景はダイナミックの一言。今後は欧州スタイルに変化させたいとの事で、確かにこの風景には鉄コレの車輛や街コレのストラクチャーは似合わないかもしれません。
余談ですが、かつてトミックスが箱根登山ベルニナを製品化したのは、日本型車輛だけれどもヨーロッパ風の風景にも似合うという意味でなかなか良かったのでは…と思いました。
★「越前福井電鉄南越線」はB3パネル(515×364mm)の上にトミックスミニカーブレールを敷設したレイアウト。走る車輛は鉄コレ…とこれまた文章にするとよくあるお手軽に作られたミニレイアウトに思えてしまいますが、良く見ればシーナリーはしっかり作り込まれ、地形も平坦なようでいて自然な高低差が付けられており、おまけに建物には照明装置組み込みで夜景を楽しむ事ができ、アクリル製の防塵用カバーがすっぽり被さるように出来ている…と、なかなかしっかりと作られたレイアウトです。ストラクチャーや道路の配置も、線路と極力並行にならないようにされているのも効果的です。
★一通り拝見して思ったのは、やはり最近のNゲージレイアウトはレベルが上がっているなぁ…という事。一見簡単に作っているようでいて、地形や全体の配置に気を使っているレイアウトが多いです(気を使っているからこそ、発表の価値がある作品と判断されて掲載されているのでしょうが)。
★ところで今回掲載のレイアウト7つのうち、4つは小型車輛の走るレイアウトですね。Nゲージで小型レイアウトの秀作が増えてきたのは、やはり鉄コレの登場が大きかった思われますが、その肝心の鉄コレが販売方法ゆえにいつでも手に入る訳ではない(特に小型レイアウト向きの12m車や15m車)のは少々問題かもしれません。ミニカーブレールは店頭に常時在庫していますが、それを走る車輛の方が意外と入手難なのではないか…と感じているのですが、余計な心配でしょうか?