軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

新年にTMS1月号を読む・2012

小生、雑誌の新年号は新年に読むべしという信念を持っておりまして、お屠蘇をチビチビやりつつTMS1月号を読んでいるところ。今回はTMSコンペの受賞作が発表されていますが、西桑名駅セクション、シェイにハイスラーにコッペル、ミニメイルグースに蒸気動車に加藤3トンとナロー関連が多数。製品の紹介を見るとHOナロークラウスBタンクが出るのですね。完成品で18000円というのは安いなぁ〜
ところで「TMSコンペ81」とありますが、既に81回目になるのですか。時の経つのは早いですね〜。しかしTMSコンペも80年以上の歴史とは凄いですよね〜
…って、いくら何でもそんな筈はないですよね。もしかすると81って81回目ではなく西暦なのかしら、とするとこれは2081年のコンペ?!
よくよく表紙を見てみれば、1月号は1月号でも1982年1月号ではありませんか! お屠蘇の飲み過ぎで最新号と間違えてしまったようです。
…という訳で、いまからちょうど30年前鉄道模型趣味1982年1月号(No.411)を見ていきたいと思います。
★巻頭はTMSコンペ81受賞作品グラフ。TMS賞は伏木氏の国鉄EF64 1000、特選が白土氏の国鉄D50と宮下洋一氏の自由形電車4輌。EF64 1000はこの号の表紙にもなっており、自由形電車は地鉄シリーズの初期の作品であります。
入選・佳作・準佳作の作品もなかなか興味深い作品が多い気が。保里康太郎氏の金属製フルスクラッチNゲージ東京市電4100(この当時、Nゲージ路面電車を1/150スケールで作るなんて事は、驚異以外の何物でもありませんでした)、後日「トイレ問題」*1で話題になったHOナローの西桑名駅セクション、現ペアーハンズの井上雅男氏のNゲージ東武ED5010とヨ251*2、「湘南交通」で知られる会田氏の16番ペーパー自作自由形荷電2輌*3Bトレインショーティーの生みの親である土信田一善氏のNゲージ配給電車と試験車、ナローでは大田安幸氏のミニメイルグース、現クラシックストーリー山川氏の蒸気動車(先日あららぎさんがブログにて紹介されています)、中島二三男氏のHOナロー7mm加藤3トンDL、川口氏の1/80 10.5mmコッペルCタンク、内藤氏のHOn3ハイスラー、吉田氏の阿里山18トンシェイ*4…と力作ぞろいです。
★車輌関連の発表記事は16番「阪急3000系の4連」、OJ「国鉄DF50」、Nゲージ国鉄キワ90」の3つ。阪急3000は京都模型完成品を要領よく追加修正加工したもの、OJ国鉄DF50は当然フルスクラッチですが、Nゲージキワ90も動力装置からフルスクラッチした労作です。
もう一つ、どちらかというと車輌関連発表記事になると思いますが、16番で「オラが村の鉄道リポート・私の高倉鉄道 組立式レイアウトとその車輌」という記事が掲載されています。地方の蒸機主力の地方私鉄を想定して、ペーパー自作による2軸客車や貨車、それにキット組立や完成品加工によるCタンクやBタンクという車輌群とシンプルな組立式レイアウト(シーナリーはなし)で楽しんでおられる「高倉鉄道」のレポートです。とかく機関車偏重になりやすい模型の世界ですが、客車がゴロゴロ、ロコは少数というところが実物的なバランス。車輌もレイアウトも凝ったものではありませんが、印象深い記事でありました。
★レイアウト記事はNゲージ芸備交通 高屋鉄道線」とHOナロー「菅原軽便鉄道」の2つが掲載されています。
第4回TMSレイアウトコンテストのTMS賞受賞作である「芸備交通 高屋鉄道線」は昭和20〜30年代の蒸気機関車が走るローカル私鉄レイアウトで、当時のNゲージレイアウトでこのような「渋い」題材は珍しかった記憶があります。主力として活躍するのはトミックスのKSK-Cタンクですが、レイアウトのスペースは2620×1820と広く、ゆったりとした風景が展開されています。鉄道ではなく、鉄道のある地方の街の模型といいましょうか。最近はあまり見ないタイプのレイアウトですが、シーナリーやストラクチャー製品が充実した今だからこそ、見直されるべきかと思います。
菅原軽便鉄道は700×500mmのHOナロー9ミリレイアウト。エンドレスに引き込み線とごく普通の線路配置なのですが、真ん中についたてがあり、後ろ側は冬の雪景色になっていうレイアウト。表面と裏面で二つの風景が楽しめる訳です。
★KATOの広告は「西武オリジナル車輌-E851&レオコンテナー新登場」。以前にも書きましたが、西武百貨店*5が特注した製品です。このE851は西武百貨店しぐなるはうすの広告にも「初春の一番列車は、西武オリジナルロコで出発進行。」とのコピーで主役となっています。
E851とレオコンテナは、みのるさんがブログで紹介されていますので、そちらをご覧ください→http://syomonai.tea-nifty.com/cocolog/2011/06/post-79a0.html
対するトミックスは小田急7000形LSEロマンスカーセット実車はこの前年の1981年デビュー。後輩であるHiSEやRSEが間もなく廃車になろうというのにまだまだ現役。TOMIX製品も数年前に改良グレードアップが施されたものの今だにカタログに掲載されている息の長い製品です。
★製品の紹介では、前述の西武NゲージE851の他、Nゲージではマイクロエースナハ11、ナハフ11、中村精密スロ33、スロフ33、16番では珊瑚DD11、キハ07/キユニ07、天賞堂ED75-300、C6229、そして我々の好きなナローでは花園のHOナロー9mmクラウスBタンク伊予鉄1号機、珊瑚の住友人車が紹介されています。
マイクロエースはその経歴がいささかややこしいのですが、しなのマイクロが倒産して有井製作所の傘下に入り、マイクロエースと改称したのがこの頃。ナハ11/ナハフ11はこの当時としては良く出来ていた製品でしたが、この後Nゲージブームが沈静化したせいなのか、発売1〜2年後にはあちこちで叩き売りされていた記憶があります。マイクロエース自体が活動休止してしまったのもあるかもしれません。この後、マイクロエースは時たま思い出したように10系客車を生産し、本格的な活動再開*6は1990年代中ごろになってからでした。中村精密もNゲージの旧型客車キットを精力的に発売していましたが、この後ナカセイと改名した後失速。早すぎた製品だったのかもしれません。天賞堂ED75は完成品で56000円、C6229は完成品で60000円。いずれもプラやダイキャストではなく、ブラスモデル。今の目で見ると安いですねぇ。今ではこの3〜4倍はしますよね。この頃は1/80プラ量産完成品が存在しなかった時代で、KATOがNゲージで培った技術でHOユニトラックとDD51を発売するのはこの翌年の事であります。
花園のHOナロークラウスBタンクは完成品のみ18000円。「かねてより企画が進められていた新メーカーによるナローゲージロコの第1弾、クラウスのBタンクがいよいよ発売されることになった。」とあります。花園製作所は天賞堂パワートラック及びキドマイティの製造などを手掛けていましたが、自社ブランドでの製品はこれが最初だった筈。上回りは真鍮製ですが、下回りはプラフレームを使っており、このフレームは同社のコッペルの他、乗工社が発売した廉価版木曽ボールドウィン*7にも使われていたと記憶します。ちなみに前年の後半から乗工社はTMS誌から広告が消えていました。。
★この号ではTMSコンペ受賞作のグラフの他に、天賞堂ストラクチャーコンテスト受賞作グラフの2回目も掲載。これは天賞堂が同社が扱っていたアメリカ製のストラクチャーキットを使った作品コンテスト。よって入賞作はいずれもアメリカ型で、西村慶明氏や松井大和氏のお名前もあります。
★コンテストといえば、第1回スピードコンテスト(主催:いさみや、エコーモデルピノチオ模型)のレポートも掲載されています。1981年11月29日に私立目黒高校体育館で開催されたこのコンテストは、一周26mの線路を二周してスピートを競うというもの。編成の部、単行の部、スペシャルの部の三部門があり、特にスペシャル部門では自由奔放奇想天外な車輌が出場しています。こういったコンテストが近年少なくなったのは淋しい限り。まぁ、スロー走行命の方からすれば「怪しからん」と思われるかもしれませんが、スピコンでなくスロコンなんていうのも良いと思いますよ。
★この頃のTMSには安田章氏によるブックレビュー「汽車の本・模型の本」というコーナーがあり、この号では「私の夕張」「日本鉄道紀要」「ヤマケイ私鉄ハンドブック・東急」が取り上げられています。おざなりな紹介ではなく、ちゃんと読んだ上で書評・紹介されていたのですが、最近の趣味誌では鉄道ピクトリアル誌の和久田康雄氏による書評位しかこのようなコーナーはない気がします。毎月多数の書籍雑誌が発売され、各誌編集部にもじゃんじゃん見本が送り付けられてくるので簡単な紹介しか出来ない…という事情もわからなくもないですが、普通の書店で簡単に買えない=立ち読みで中身を確認できないような書籍こそ、このようなコーナーでしっかりと紹介して頂きたいのですが…。
★安田氏のブックレビューの隣には、水野良太郎氏による「Model Railroading with JOHN ALLEN」(米国・カルンバック刊)の紹介が掲載されています。ジョンアレンのGD鉄道のアルバムであるこの本は、機芸出版社でも扱ったのでお持ちの方も多いかと思います。そういえば以前、若大将こと俳優の加山雄三鉄道模型ファンとしても有名)がテレビ番組で、このGD鉄道の本を片手に嬉しそうに鉄道模型について語っていたのを見た事があります。目次の下にある機芸出版社の自社広告では「予想の数倍の御注文をいただき、ご注文順に入荷次第配送しております」と書かれています。
★この号で忘れてならない記事が一つ、河村かずふさ氏による「切り継ぎマニアのメモから」は覚えておられる方も多いかと思います。TMSスタイルブックなどの折り込み図面を切り継ぎ合成した様々なフリーランス図面を紹介されている記事です。今ではパソコン、スキャナが普及していますので、コタツに入りながらPCでデジタル切り継ぎが楽しめる筈。安楽電脳マニアもまた楽し…というところでしょうか?
★ところで、1970年代までは表紙に「新年特別号」と入っており、背表紙も「1月号」ではなく「新年号」だったりしたのですが、この号では表紙には特に新年云々は入っていません。森井さんのサイトにアップされている表紙画像を見返してみると、1980年1月号、1981年1月号は「新年特大号」、この1982年1月号はなにもなし、翌年の1983年1月号では「新年号」、その次の1984年1月号では再び何もなくなり、以後同様のようです。

★この他にも30年後の今見ると興味深い記事や広告がいろいろありますが、キリがありませんのでこの辺りにて…

*1:発表記事の中に屋根を外して上から室内を映した写真(編集部撮影)があり、そこに写っていたリアルなくみ取り式の大便器の写真に激怒した某読者がそのページを破り捨て、編集部に苦情の手紙をよこした…という事件。ミキストでTMS山崎主筆が取り上げた事で世間が知る事となる。

*2:ペアーハンスで後に製品化されています。井上さんはアマチュア時代から特注エッチングで窓抜きやパーツ作りをされており、それがペアーハンズ製品の原点なのかも

*3:湘南交通の親会社の湘南急行の車輌という設定

*4:この作品のベースとなった鉄道模型社の阿里山シェイのキットは「組立てて走らせるように出来た人は数人しかいない」と言われる程の難物キットです

*5:当時、西武百貨店は池袋店に鉄道模型売り場「しぐなるはうす」を持っており、鉄道模型の販売に力を入れていました。商品の仕入に関しては宮沢模型との関係が深く、この西武E851がその後の宮沢模型特注品の165系なのはなやキハ81が生まれるキッカケになったのかもしれません。

*6:というよりもかつての親会社だった有井製作所があらたにNゲージ製品を発売するにあたって、以前子会社が使っていたマイクロエースのブランドと一部の金型を再利用した…という方が正しいかも

*7:1990年頃に発売され、現在イモンに引き継がれているPU101を使ったエコノミータイプ木曽ボールドウィンとは別物。エンドウが比較的廉価な木曽ボールドウィンでHOナローに進出した為、これに対抗するために発売した…と噂されていました。