軽便鉄模アンテナ雑記帳

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TMS2009年3月号を読む

鉄道模型趣味 2009年 03月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2009年 03月号 [雑誌]

  • 発売日: 2009/02/20
  • メディア: 雑誌
★いつも間違って何十年も前のTMS(鉄道模型趣味)誌をご紹介してしまうのがお約束の本ブログですが、今回はちゃんと最新号を買ってきましたよ。表紙に「鉄道模型趣味」2009年3月号と書いてあります。今年って2009年ですよね?(←オマエはボケ老人か!)
★今回のTMS、冒頭から家元の「栗倉鉱業所PART2」(HOナロー6.5ミリ)、KBMCの服部氏の「福島交通風の電車と貨車」(HOナロー9ミリ)とナロー関連の記事が二連荘。さらには小林信夫氏の連載記事「軽便電鉄への御招待」今回が最終回で軽便電鉄レイアウトを紀行風に紹介。とどめとして平岡幸三氏による「鉄道模型技術散策」でJALCOの浮津氏作のGゲージ(スケールは1/20)のハイスラーが取り上げられています。
★「栗倉鉱業所PART2」は昨年の軽便鉄道模型祭で展示され、実際にご覧になった方も多いかと思います。見せ場を心得ておりパイクであり、技法的にも危なげなところや雑なところが一切なく、TMSレイアウトコンペで入選となったのが納得できるパイクです。
プレハブ小屋が立っており、下の道を走る車が初代ホンダシビック*1や最後期のダイハツオート三輪*2である事から、このレイアウトの時代は1970年代中ごろであろう事がわかります。鉄道ファン誌の「こっそり・ひっそり・めだたずに」とか、レールガイ別冊「知られざるナローたち」*3とかで取り上げられていたナローの専用鉄道が思い出されます。
模型的に見ると、高低差のあるダイナミックな地形が良いですね。前側からだけ見る設計(裏は「黒子」*4ですな)も、イベントでの公開展示を目的としているであろうこのパイクでは正解でしょう。
記事の写真のキャプションは編集部によるものでしょうか? もしそうだとしたら妙に力が入っているというか、ノリノリですね。昔のレイアウト紹介記事のようで良いです。
★「福島交通風の電車と貨車」は、以前にブログ「しまなみ海童のひとりごと」さんで掲載されていた車体を譲り受けて完成させたもの。
しまなみ海童のひとりごと 福島交通の1115
しまなみ海童のひとりごと 福島交通の1115 その2
しまなみ海童のひとりごと 福島交通の1115 その後
実はワタシは現物を拝見しているのですが、ペーパー製にありがちなぼってりした所がないシャープな窓抜きの車体で、服部さんが手に入れたくなったのも分かります。しかし缶スプレーだけで塗装したものとは信じられません。下回りはNゲージEF65の流用ですが、まったく違和感はありません。実車は1067mmゲージなので*5当初は12mmにするつもりだったそうですが、結局Nゲージ流用で9ミリナローとしたとの事。写真は編集部撮影ですが、KBMCモジュールを使って撮影しているので(表紙にもその写真が使われている)良い感じであります。
浮津氏のハイスラーは機械加工を多用した完全自作。車輪も自作です。モーターで走る通常の電動模型ですが、どちらかというとライブスチームに近いかも。機械好き、メカ好きの人にはたまらないかも。

▲古典蒸気模型祭にて撮影
★鈴木氏によるイタリアのトリエステ・オピチーナ鉄道というメーターゲージ(1000mmゲージ)のトラムの実物の紹介記事が掲載されていますが、これは一部架線のないところを走る(しかもパンタは上げたまま)というもの。なぜ架線がないかというと、その区間は急勾配でケーブルカーになっているのです。それって筒井康隆の短編に出てくる鉄道「熊の木本線」と同じではないですか! 実際にそういうものは無く、筒井氏の空想の産物だと思っていたのですが、まさか本当に存在していたとは・・・。まさに「実物は模型より奇なり」であります。
★「熊の木本線」は明け方にみたちょっとした夢(それも少々悪夢っぽい)を思い起させる短編でしたが、「軽便電鉄への御招待」最終回で全貌が明らかになった小林信夫氏の軽便電鉄レイアウトもそれに近いものがあるかなぁと今回思いました。ストラクチャーの感じから一見「三丁目の夕日」的世界っぽくみえてしまうかもしれませんが、旧型軽便電車がシングルアームパンタを載せていたり、レイアウトの一角がサボテンが生えていてメキシコかキューバかというような風景になっていたり、記事中のレイアウト紀行の結末といい、夢の中の鉄道(ここで言う夢とは寝ている時に見る夢のことですよ)を模型化したものという気がします。みなさんも見たこともない不思議な鉄道が出てくるような夢を見た事はありませんか?
そうそう、「三丁目の夕日」にしても、西岸良平*6の原作漫画ではSF的なエピソードも結構多いんですよね。
★広告欄は自社広告が目立ちます。小さな模型店が店主の高齢化で店を閉めているとか、鉄道模型雑誌が多数出ていてそれら他誌に広告を持っていかれたりとか、小メーカーや小規模店が低コストのWebを利用して広告は出さないとか、いろいろあるのでしょうな。
広告の中ではワールド工芸広告のHOナロー草軽デキの動力装置の写真が興味深かったです。ようやくどういう構造だか分かりましたよ。
ところで、いさみやの広告のカラープライマーの項は相変わらず黒とグレーのままですよ>作業部長
★他にもまだまだ書きたい事がありますが、今回はこの辺にて・・・

*1:今じゃ信じられない事でしょうが、ホンダの四輪車は軽トラックのTNとシビックだけ・・・という時期がほんの一時期ですがありました。

*2:ダイハツマツダオート三輪は1970年頃まで生産されていて、その後も1980年頃まで実用として結構使われていました。

*3:レールガイって最後の方は版元が変わったりした末に消滅しましたよね。でもその後に創刊した「レイルマガジン」って、「マイレイル」+「レールガイ」でしたよね。

*4:ダックスストーリー参照

*5:でも福島交通軌道線ってもともと軽便軌道を改軌したものなので、車輌の幅も狭く、ナローっぽい路線ですよね。実物に詳しい人でも「あれってナローでしょ」と勘違いして覚えている例も多いです。

*6:昔のTMSのミキスト欄で、「PECOのナローの注文があった」という話が書かれていました。今だったら個人情報保護的にそんな事を勝手に書いたらNGですな・・・