軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人(うかい)の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

TMS2010年3月号を読む

★先月に続き今月のTMS(鉄道模型趣味)誌も、ナロー鉄道模型ファン必見かも。というのは、管さんの回転ナローレイアウトが出ているからです。

鉄道模型趣味 2010年 03月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2010年 03月号 [雑誌]

★今回はレイアウトの記事は3つも掲載されており、レイアウト派にはうれしい限り。やっぱりTMSはこうでなくっちゃと思う事しきりです。
★表紙にもなっている16番レイアウト「昭和30〜40年代の国鉄下総中山駅は、常磐線車輌の作品発表でお馴染みの鈴木秀一氏の作品。ご自身が長年作られた車輌に合わせたセクションですが、KATOのNゲージ用モジュールパネル(900×600mm)を使用し、実在の下総中山駅の駅舎周辺部分のみを切り出して製作されたもの。写真の撮り方もあるのでしょうが、そんなに小さいスペースとは思えない広がりを感じます。ストラクチャーは全て自作の様ですが、いずれも丹念にカッチリと作られています。レイアウトのストラクチャーは多少ヨレてた方が実感的という意見もあるけれど、国鉄幹線の駅を題材としているこの作品では、この様にカッチリと作ってある方が良いかと思います(逆にナローのレイアウトなんかだとカッチリではなくヨレヨレになっていた方が実感的でしょうね)。前号の13ミリレイアウト同様に、良い意味で車輌工作の得意な方ならではのレイアウトだと感じます。
ところで、最後のページの夕焼けの写真は合成なのかしら?
コロラドエスタン鉄道レイクウッド線」は900×450mmのNゲージアメリカ型レイアウト。この位のサイズは自宅で楽しむには手頃かも。記事中にはパイプラックの中に以前に発表されたレイアウトと一緒に収納されている写真も掲載されています。凡人だとフラットベースに単純なエンドレスをペタリと貼り付けてオシマイですが、流石にベテランの植竹さんの作品だけあって、線路配置やシーナリーのデザイン、そして「見せ場」の配置などは上手いです。
管さん「日出生交通立田山粘土鉱山第二坑線」はHOナロー6.5mm&9mmの回転ナローレイアウトでレイアウトコンペ入選作。JAMコンベンションや軽便鉄道模型祭で展示されたので現物をご覧になった方も多いかと思います。高低差のあるシーナリーのデザインは見応えがありますし、ギミックや見せ場が楽しいレイアウトです。鉱山というとどうしても荒涼としたイメージがありますが、機関庫の辺りは緑が豊かであり、メリハリがありますね。
このレイアウトの最大の特徴は「回転する事」ですが、この辺りのメカニズム(前作の流用)もしっかりと作ってあります。こういうネタを思いつく事は誰でも出来るけれど、それを本気かつ真剣にやってしまう所が凄いです。中途半端でなく真剣に遊ばないとなぁ〜と思うのでありました。
↓回転する様子はさすがに雑誌では見ることはできませんので、以前にyoutubeにアップした動画をご覧下さい。本当に見ていて飽きないのですよ。

★小林信夫氏の連載「ストラクチャー工作雑感」は「楽しいバス停工作」。作例2つとバス停に関する考察。作例の一つは1/12という大型スケールのバス停と待合室で、段ボールを利用し、人形はキャラクターフィギュアを流用。屋根の上の落ち葉や古タイヤ、脇の空き瓶(食玩の流用かな?)が良い感じです。
ところでプラモ系でもこういうジオラマはあったりする訳ですが、個人的にはどうもそりが合わないというか、良く出来ている事は認めつつもあまり好みではないと感じたりします。個人の好みと言ってしまえばそれまでですが、鉄道模型とミリタリープラモの文化の違いに起因するような気も。基本プラという素材を用いて塗装によって仕上げるプラモ系と、プラ以外にも紙や金属など各種の素材を使用し、完成品も利用する鉄道模型系と、同じ模型であってもアプローチが違う様に思えます。そして、今回の小林氏の1/12スケールのバス停は「鉄道模型」ではないけれど、しかし鉄道模型的なアプローチで作られている作品ではないかと思うのです。。
ところで、バス停に立っている女子高生らしきフィギュア。アニメやゲームに疎いワタシには分りませんが、一体何のキャラクターなのかしら?
★車輌関連の記事では、Nゲージの「自由型で作る改造気動車4種」twitter上などで評価されているつぶやきを複数拝見しました。国鉄キハ55系/58系をベースにした「ありそうな」自由型作品ですが、こういう工作はNゲージならではという気がします。Nゲージなら比較的安価ですしプラキットもあったりするので、誰でも手軽に河村かずふさ出来る*1と思うのですが、最近そういう楽しみが忘れられている感じもしますね。
「戦後日本 鉄道模型 製品の歴史」は遂に連載30回目。今回は昭和26年頃の製品の話で、カツミのOゲージドックサイド、つぼみのOゲージB凸、ファイバー製のHOクハ86や近鉄新2200などが紹介されています。つぼみのB凸は後にHOでも製品化されたもの。さらにそれがモデルチェンジされたものが、一般的によく知られる「つぼみのB凸」である訳です。そうそう、この連載のここ何回かで「加藤金属」の名前が出てきていますが、この加藤金属こそ現在のKATO=関水金属の事。この時代はドロップ製のHO台車を各種生産し、その製品は「加藤の台車」として親しまれていたのであります。しかしKATO自身は何故か加藤金属時代の事を語りたがらない印象があり、昭和32年の有限会社関水金属彫工舎の設立をもって創業としているようです*2
★「製品の紹介欄」では、新額堂取り扱いのSan Juan Car Co製On3(1/48 19mm)フレキシブル線路が気になりました。ナローファンとして気になったのではなく、プラ枕木の独特の形状にです。フレキシブル線路ではプラ枕木がレールの下辺りで繋がっているのは皆さんご存知でしょうが、この製品では枕木の中央部分で繋がっているのがミソです。あと、ナローファンにはOスケールのガソリン計量器(モデルワム製・6300円)も気になるかも。
★広告欄ではムサシノモデルの広告に「JRF DF200プラスティック・モデル(サウンド搭載)」との文字が。「エッチング、ロストワックス・パーツ使用のハイブリッド・モデル。価格は\40,000を切るよう努力中です」とあります。天賞堂に続いてついにムサシノまでプラ16番進出なのかと少々ビックリ。

*1:古くからのTMS常連執筆者である河村かずふさ氏は「切り継ぎマニアのメモから」「切り継ぎアラカルト」といった図面をコピーして切り継ぎプランを練る記事を何度か書かれていますし、16番で既存のキットや完成品を切り継いで別の車輌に化けさせた作品も発表されています。そんな訳で、ある一定の年齢以上の読者にとって「切り継ぎ=河村かずふさ」なのであります!

*2:加藤祐治氏としては、加藤金属=父親の会社、関水金属=自分の会社という意識のようですが→Nゲージ生誕40周年特別企画講演会を開催。 - 編集長敬白アーカイブ