軽便鉄模アンテナ雑記帳

軽便鉄模アンテナ管理人の雑記帳です。ナローゲージ鉄道模型の話題が主

あまちゃんを鉄道模型ファン的に振り返る

NHK連続テレビ小説あまちゃん」が終わって早半月。明日14日(月・祝)に総集編が放送されるとの事です。

10月14日といえば鉄道の日。もしかするとそれを意識して14日を選んだのかしら?などと考えてしまいます。というのは、「あまちゃん」はアイドルをめぐるドラマであると共に、ローカル鉄道をめぐるドラマでもあったと思うからです。

ローカル私鉄は地元アイドル?

★「あまちゃん」の舞台となるのは岩手県三陸市という架空の市で、そこには第3セクターのローカル線「北三陸鉄道」(きたてつ)が走っているという設定。北三陸鉄道のモデルは三陸鉄道で、撮影にも三陸鉄道が用いられ、同線の36-100・36-200型ディーゼルカーが画面に度々登場します。主要な登場人物といってもいい位(…人ではないが)。オープニングタイトルでも36型が単行でのどかな田園を走るところを空撮したシーンが用いられています。
★脚本担当の宮藤官九郎は、以下の様に語っています。

このドラマの発想の核になっているのは「アイドル」の「村おこし」です。ここでいう「アイドル」とは、元気に歌って踊る女子達だけではありません。韓流スターでも野球選手でもパンダでも妻でも夫でも、なんなら電車でもお城でもいい。
NHKホームページ(http://www1.nhk.or.jp/amachan/info/#scenario)より

「なんなら電車でもお城でもいい」という箇所を読んで思ったのですが、ローカル鉄道というのは、地元アイドル的存在なんじゃないでしょうか。
ここで言うローカルとは田舎ではなく地元という意味。都会である東京でも荒川線や世田谷線は地元アイドル的存在ですし、湘南には全国的人気をほこる(と思う)江ノ電があります。引退(廃線)になった後も伝説として地元でリスペクトされている沼尻鉄道や頸城鉄道木曽森林鉄道の様な例もありますね。毎年開催されている頸城や木曽のイベントは、往年のアイドルの復活・再結成コンサートのようなものかもしれません。

三陸ジオラマ(レイアウト)

★模型ファンとして着目したいのが、劇中登場する北三陸の全景模型。Nゲージの線路が敷設されて車輌が走行するので、鉄道模型界でいうレイアウトですが、劇中では「ジオラマ」と呼ばれています。
このジオラマはドラマの中では北三陸観光協会の事務所に置かれ、吹越満演じる観光協会の会長が何年も掛けて作っているという設定。当初登場した際は地形がスタイロフォームを積み上げたままの製作途中。さらに周囲には塗料やパウダー類が置かれていて…と中々芸が細かく、思わずニヤリとさせられた模型ファンも多い筈。
実際の製作は専門業者によるものの様で、製作担当のコンプレッションモデリング社のサイトに掲載されています。

このジオラマ、よく見ればリアル路線では作られておらず、どちらかというと絵本的なタッチです。走る車輌はトミックスのNゲージ三陸鉄道、自動車はバスはカーコレ/バスコレあたりが使われていますが、ストラクチャー(建物)は殆ど市販Nゲージストラクチャーを使っておらず、絵本的なタッチでスクラッチされたもの。シーナリーも海は青、山は緑といった感じ。観光協会会長が業者等に頼まず(楽しみながら)自分で作っているという設定だからそのような作りになっているのかと思っていたのですが…
★ドラマ後半でこのジオラマはほぼ完成するのですが、9月2日放送の第133話でその日…2011年3月11日がやって来ます。ドラマ上で地震津波をどう表現するのかはネット上でも色々な憶測が流れていましたが、ニュース画像の流用でも、CGによる再現でもなく、このジオラマが使われたのでありました。
地震により壊れたジオラマの姿…建物(ストラクチャー)や車がひっくり返り、フレキシブル線路がねじまがってちぎれ、その上にガラス板が割れて散らばっている…をクローズアップする事で、北三陸と北三陸鉄道地震と大津波で多大な被害を受けた事を表現したのです。また、観光協会会長が手塩に掛けて作ってきたジオラマが壊れた姿を見せる事によって、震災により大切なものを失った方々がいる事も示したのでしょう。
★製作者側の配慮を感じる脚本・演出でしたが、もしこのジオラマがスーパーリアルな物であったら、生々しい表現になってしまったと思います。ジオラマの造りが適度にゆるい絵本的なタッチだったのは、震災表現に使う為に意図的にそうしてあったのでしょう。
ジオラマの登場は震災の回で終わった訳ではなく、その後の回でも登場。徐々に復旧され、最終回では再びNゲージの36型が走りまわる姿が登場します。

トミックスのNゲージ三陸鉄道


★実在の三陸鉄道第三セクター鉄道のはしりで、開通当時は一般メディアでも大きな話題となりました。投入された車輌も見飽きた国鉄車ではなくて新鮮な印象の36-100/36-200型。鉄道模型の世界でもトミックスがNゲージで、エンドウが1/80でさっそく製品化したのですが、当時は今のように何でもかんでも模型製品化される状況ではなく、私鉄車輌の製品はごく限られていた時代。それだけ人気かつ話題の鉄道/車輌であった訳です。
★トミックスNゲージ製品は「あまちゃん」の劇中でも前述の様に北三陸ジオラマの上を走っていたり、スナックのカウンターに置かれていたり、杉本哲太演じる駅長の大吉が運転する北三陸鉄道の社用車(ディーゼルカーとお揃いのカラーの軽ライトバン!)のダッシュボードに置かれていたりと、小道具として度々登場しています。随分と昔の製品ですが、トミックス製品が安定してきた時代の品なので、基本的なモールド等はカッチリとしていますし、最近の製品のような過剰な細密さがないので、遊ぶ時にも余計な気を使わなくて済みます。
画像の品は筆者保有の物ですが、2000年頃に買ったような記憶が(今は亡きさくらやの値札が付いてました)。その後2003年には実車にあわせてクーラーを屋根上に設置した改良製品に切り替わっています。先日は三陸鉄道ではなく「北三陸鉄道36型」として劇中に登場したお座敷列車仕様のバージョンが限定発売されましたが、ドラマや映画に登場した列車の製品化というのは(少なくとも日本では)珍しいのではないでしょうか?